アンケートにPowerBook G4 12-inchについての記事も読みたいという声が寄せられましたので、予定を変更してロジックボードとシステムアーキテクチャについて触れたいと思います。
先日、マックメム社のご厚意で、はい、須山歯研!の須山氏とともにPowerBook G4 12-inchの内部を見ることが出来ました。アルミ合金に変更された筐体は、トップケースが電磁波シールドと一体形成されるなど、キーボード周りの剛性は確実に改善していました。
CPUはXC7445A RX867WFでした。PowerPC G4はこれまでPPC 7455など外部L3キャッシュが特徴的でしたが、PPC 7445には、このインターフェースがありません。
そもそも現在のG4の弱点はフロントサイドバスの遅さにあります。SDRで133〜166MHzのフロントサイドバスにはメモリアク
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セスやI/Oアクセス、GPUへのコマンドなどが混在し、ボトルネックになっています。独立したL3キャッシュインターフェースはフロントサイドバスのメモリアクセス負荷を分散することが可能です。PPC7445にもCPUコアにL2キャッシュを256キロバイト内蔵していますが、iBookの750FXの半分しかないのも事実です。
高負荷時にフロントサイドバスが飽和しパイプラインストールが増加した場合、パフォーマンスは落ちますが、逆に最大発熱量は抑えられるでしょう。放熱面積の小さな小型筐体では、最大発熱量にあわせて冷却系を設計する必要があります。多くの場面では快適に動作し、ある程度時間のかかる高負荷時はパフォーマンスよりも筐体の小ささをとった結果でしょうか。
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す。大きさや、コネクタ配列の同じiBookのロジックボードに似ていますが、GPUが表側に配置されていることが異なります。自然放熱による冷却ではなく、GPUを含めてブロアーで強制冷却するためでしょう。
また、ハードディスクスペースを除くと主要なチップがところ狭しと配置され、L3キャッシュ搭載スペースは残っていません。
Uni-North ICとKeyLargo ICが一つに集積されたのがPangea ICと
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呼ばれ、2001年にiMac flower Powerではじめて採用されています。PowerBook G4 12-inchはDDR SDRAMをサポートしたUni-North 2とKeyLargoが集積されたPangea 2とでも呼ぶべきシステムコントローラーが使用されていると考えました。そして作図終了後にDeveloper Noteが発表になり、名称がIntrepidであることがわかりました。
Appleのアーキテクチャ変遷を眺めると、PowerBook G3 1998で二つのHeathrow IC(サウスブリッジ)を搭載するという挑戦的なものを最後に、iMac、iBookといったコンシューマ系に最新のチップセットを採用し、熟成してからプロシューマに搭載する流れがありました。そ
れがXserveを境に、高価なプロシューマに最先端のチップセットを投入するという本来の姿に戻ったと感じます。
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AirMac Extremeインターフェースを持つPowerBook G4 12-inchのシステムコントローラーは、外部にPCIインターフェースを持ちます。将来的にIntrepidがG4世代のシステムコントローラーの最終形態としてUni-North ICに替わることさえ予想させます。PowerBook G4 12-inchが、その最初のリファレンスなのかもしれません。
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謝辞
各関係者の皆様、ほんとうにありがとうございました。
また、すかさずDeloper NoteのリリースとIntrepidを教えていたポセイドン様、いつもありがとうございました。
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