Mobility Radeon 9000の実際を見ていくことにしましょう。
これまでATiのMobilityチップは同時期のハイエンドではなく、ミドルレンジのデスクトップ用チップの機能を削減したり、プロセス技術を進めることで省電力化してリリースしてきました。しかし、Moblity Radeon 9000 (RV250/M9)はRadeon 8500と同じプロセス技術のまま、機能も特に削減するこなくモバイル用製品として発表されました。4つのShader Engine、パイプライン構成も変わっていません。
実際にPowerBookに搭載されているのはマルチチップモジュールのMoblity Radeon 9000 E32でした。上位機種のS64と比較するとメモリバス幅は半分の64bitのDDRで、マザーボード上に残り32メガが搭載されています。おそらくMobility Radeon 7500のPowerBook G4 DVIと同じマザーボードを使用するためと、32メガバイト構成の867MHzの存在が影響したと考えられます。
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つぎに歴代のPowerBookを測定してきたMacOS 9.2.2での結果を示します。これはMacBench 3.0を2バイト文字表示を考慮するようモディファイしたものを使用しました。
すでに9.2.2上での2D性能は十分であり、思ったほどの向上は認められませんでした。逆にCopybit-Largeテスト系の性能低下が認められます。このテストは描画命令と比較すると、転送するデータの割合が多く、CPUのキャッシュにそのデータが完全に格納できる容量であるため、ボトルネックはCPU-North Bridge部分の可能性もあります。そこでCPUおよびNorth Bridge IC、メモリ周りの性能を測定しました。
に測定結果を掲載しましたが、ほぼCPUのクロック比分の向上を確認することができました。
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心配されたMPX Busのパフォーマンスも若干改善しています。おそらく9.2.2上のグラフィックドライバーが関連していると結論づけました。
また、テキスト表示に関しては1.5倍の性能を示しています。CPU性能が色濃く反映するテストではありますが、GPU内部コアの性能向上と合わさり、良い結果を残したと考えられます。
これはMacOS X上のAcrobatのスクロール性能を測定した簡単なもので、本体液晶同士を比較した場合、それほど大きな向上は認められませんでした。しかし、外部にCinema HD Displayを測定した場合、68%もの改善を認めました。
Cinema DisplayはPowerMacだけのもではありません。十分に実用に耐えるパフォーマンスをPowerBook G4は持っているといえるでしょう。
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