新しいiBookが発表されました。PowerBook G4よりも小さく、少し厚みはあるものの、PISMOよりも薄く、乳白色のボディーはなかなか魅力的です。
液晶画面が12.1インチと小振りではありますが、XGAという解像度を確保した部分は、PowerBookとの棲み分けを難しくする一番の要因でしょう。
内部構造的には、IBMの2次キャッシュ内蔵型のG3である750CXシリーズを採用し、Uni-North ICとKeyLargo ICを統合したPangea ICを搭載するなど、コンシューマ系統の最新チップセットが惜しみなく投入されています。
ロジックボードを想像すると、主要なICは CPUとPangea IC、そしてRAGE Mobility 128の3つに集約され、PowerBook G4にあるPiplined Burst SRAMや、KeyLargo、PCMCIAカードブリッジコントローラーなどある程度面積を必要とするチップ群はすべてなくなっています。
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PowerPC750CXとPangea ICを接続する60xバスの速度は66MHz、Ultra DMAが33MHzと低く押さえられていますが、これは消費電力とPowerBook G4との差別化のための、きわめて政治的なデチューンである可能性は否定できません。
PowerPC750CXは、L1 Data Cacheと60x Bus Interface Unit内部にあるL1 cast out bufferとL1 re-load buffer(いずれも32バイト、256ビット分あります)との接続を256ビット幅で行っています。こうした根本的な改良と、高速化されたL2キャッシュの搭載は、G3というよりはG3.5とでもたとえればよいでしょうか。
今回のiBookの内部構造はまさにEmbeddedという言葉に集約されるでしょう。L2キャッシュを内蔵したCPU、グラフィックメモリを内蔵したRAGE Mobilityをはじめとして、ノースブリッジICにDisk interfaceをはじめとする各種I/Oを集積したPangea ICは、PCIバスをEmbeddedしています。
iBookを構成する主要な回路は、たった三つの集積回路におさまり、機能するのです。アナログRGB端子や、コンポジット
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出力端子は専用コードが必要なものの、プロジェクターに接続するなどのプレゼンテーション用途にも十分使用できるでしょう。
DVD-ROMとCD-RW機能を同じドライブで可能とするcomboドライブの選択もAppleStoreのみのコンフィグレーションながら可能とする部分などは、PowerBook G4ユーザーから見るとうらやましい限りです。最大の弱点であった液晶解像度がXGAになった今、最低価格158000円を武器に、もっともダメージを受けるのはPowerBook G4かもしれません。
しかしながら、ダメージを受けるのは現在のPowerBook G4であって、将来発表されるだろうPowerBookのロードマップの霧が晴れたことも見逃してはなりません。iBookに無い物はかならずPowerBookに残るはずです。PowerBookにPangeaが押しつけられて、PCMCIAが消失することは無いでしょう。Uni-North 1.5が与えられればFSBの高速化もあり得るかもしれません。なぜならFSBの高速化の恩恵をより受けることができるのは、G3ではなくG4だからです。
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5/May 2001 訂正
ディスクインターフェースの速度はUltra DMA 66ではなく、Ultra DMA 33のようです。現在入手できるデベロッパーノートで確認できます。先に発表されたiMac FlowerPower 600MHzに搭載されるPangea ICはUltra DMA 66であることから、意図的なデチューン、もしくは消費電力の低減をもくろんでいる可能性があります。
現在もっとも高速な2.5inch IDEハードディスクの連続読み書き能力は約20Mbyte/sec強であることから、33Mbyte/secの最大転送能力を持つUltra DMA 33でも充分であるという考えもありますが、年々大容量化しているハードディスク内のバッファーを考えると、その容量に収まるディスクアクセスが倍の速度で終了するUltra DMA 66と比較した場合、
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Pangea IC内部のPCIバスの占有時間が増加するおそれはあります。
謝辞
kiyo氏より、ATA速度のデベロッパーノートとの違いの指摘を受けました。ご指摘ありがとうございました。
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Apple Storeでも12inchモデルにSuper Driveを組み合わせることはできません。PowerBookとの差別化のためもあるかもしれませんが、エントリーモデルからSuper Driveを搭載することが、iアプリケーションとの連携からも必要と考えます。それはさておき、Bluetoothの内蔵やUSキーボードを必要とするユーザーはApple Storeでの購入しか選択枝はありません。
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