Battery Reset2.0が発表され、潜在する問題にたいしてAppleの一つの回答が得られました。今後続発するであろう「充電障害」に対して大きな備えでしょう。また時を同じくしてLitum Ion Batteryに関して、情報を頂きました1)。ありがとうございます。
劣化はどうして起こりますか?
サイクル劣化が起こる原因はいろいろな要素がからんでいますが、主には、サイクル経過による電解液の分解、それに伴うガス発生による極板間距離の増加や電解液枯れによる内部抵抗の増加です。
サイクル劣化はどのくらいで起こりますか?
常温で充放電を繰り返す分においてはサイクル劣化は500サイクル後でも60〜80%の容量保持率の物がほとんどです。
劣化しないように気をつけることがありますか?
電池の構成にもよりますが、Li-ion電池は温度変化に敏感でありまして、5度以下の低温や、60度以上になる環境で使用しますと劣化が早くなります。使用中あまり熱くなると良くないと言うこと、低温使用も良くないと言うことです。
取り外して保存するとき注意はありますか?
Li-ion電池でいちばん不安定な状態は満充電時です。通常、満充電で保存するということは避けたほうが良いです。
それでは、空にして保存した方がいいのでしょうか?
終止電圧付近では急激に電圧が低下します。ということは自己放電により少しの期間でも過放電状態になることもあり得ます。過放電は電池の寿命を確実に縮めます。
一言、「充電障害」についてご意見はありますか?
PBG3 Seriesに限らずPC用途のLi-ionバッテリーの保護回路はかなり過敏に設計されており2重3重の保護機能が働いています。第一保護に関してはたいてい復帰式のものですが、その次に働く保護機能は電池自体を殺して、安全性を保とうとする自殺機能です。PBG3のバッテリーの保護回路は、復帰式であるべき箇所にも関わらず、過剰に厳重な管理をしようとしすぎたために充電障害などが発生したと思われます。しかし、もしかしたら、意図的にパワーマネージャをリセットしなければならないようにしてあるのかもしれません。これらことはアップルが以前にLi-ionのセルを搭載した機種で重大な事故を起こした経緯があるのではないかと推測されますね。
長くLitum Ion Batteryとつきあって行くには、取り外した場合は常温で、中程度充電した状態での保存が適切で、使用中はあまり熱くなる使い方をしないように注意するということ。充電・放電のサイクルによる劣化より、過放電、過充電、それに伴う発熱が劣化に大きく係わると言うことを念頭に入れるということのようです。