iMacの内部写真は公開直後からApple社のWebページに掲載されていました。今回は公開されたDeveloper Noteとあわせて、iMac G5の内部構造について考えていきたいと思います。
iMac G5はスクリーン一体型で厚みが約5cmと大変薄くなっています。323_ the cooling sysytem of the iMac G5に廃熱経路の予想図を示しました。iMacではPMU 99に替わり、SMUが基板温度センサーだけではなく、消費電力もあわせてモニターし、ブロアー回転速度を制御しています。SMUはOSによって制御され、OSがハングアップしたり、制御信号をサポートしなければ、2分で最大出力になるよう安全装置が組み込まれています。
320_ inside of the iMac G5でわかるように、基板中央の広い面積を占めているのは定電圧回路です。PowerBookに搭載するには、まだ大きすぎますが構成するチップの省電は着実に進んでいる様子です。
Developer NoteによるとU3L(Uni-North 3 Lite)と呼ばれる新しいMemory
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Controllerは90nmとSOIを組あわせた最新のプロセスルールで製造されています。Liteとされていますが、アドレッシングはU3と同様42bitをサポートし、Processor BusとI/O Controller用のHyperTransportのコンフィグレーションが遅く設定されていることを除けば、シングルCPUのMemory conrollerとしての条件はすべて備えています。では、どの程度の性能低下があるのでしょうか。
G4と比較しG5はスループットを重視します。小さなメモリアクセスのレイテンシは1.5倍に悪化し、キャッシュラインの増大はソフトウェアの設計によっては3倍のオーバーヘッドを生じ、あっという間にバスを飽和させてしまいます。例えばCPU内部のキャッシュを抑制した場合、バス性能だけ比較すればG5はG4の4分の1程度の性能しか出ません。
G5はメモリアクセスに関しては、4本の先読み回路を持ち、バスを最大限に活用します。そういう意味でも、G5のProcessor Busには方向性があって、
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上りと下りの帯域が制限されています。双方向Busの場合、切り換え制御のオーバーヘッドが生じますが、帯域分配の自由度はあがります。G5の特性を考えると前者が適しているのでしょう。128bitの連続したLoad命令を内部キャッシュが飽和するまで発行した場合(現実には起こりえない)の速度を調べると、PowerPC 970 1.8GHz/ Processor Bus 900MHzで約3GByte/secという値が得られました。G4の740MByte/secと比較すると4倍です。実機がない現在、同じテストをiMacで調査することは無理ですが、iMac G5の理論上のバス速度である2.4GByte/secを超えています。それではどの程度の影響があるのでしょうか。
現在入手できるベンチマークテスト結果(Xbench)を、もっとも類似する構成のPowerMac G5と比較したのが322_ Architecture block diagram and Bus speedです。Processor Busを経由しメモリ、AGP、HyperTransportのそれぞれについて比較した値を示しました。メモリ、AGPに関してはPowerMac G5の96%の性能を発揮しており、Processor Busが大きなボトルネックになっていない
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ことを示しています。しかし、Serial ATAドライブへの連続書き込みテストの性能が約半分にとどまっています。半分の速度に押さえられたHyperTransportが影響しているのでしょうか。同時に行われた連続読み込みテストではPowerMac G5と同程度の値を示していることからHyperTransportの影響はわずかであると考えられます。それならどこが原因なのでしょうか。
iMac G5のキーデバイスの一つとしてShesta I/O Controllerがあります。medical macintoshではI/O Controllerについて、1998年にHeathrowを2つ搭載したPowerBook G3 seriesから追いかけています。短命だったPaddingtonを経て、1999年7月にiBookの発表とともにKeylargo I/O Controllerがリリースされました。何度かの小変更を受け、一時はPangeaやIntrepidに統合されながら、PowerMac G5でHyperTransportに対応し、Serial ATAやFireWire Link Layer、PCI BridgeをもつKeylargo 2へ進化しました。それではShesta I/O Controllerはどのような位置づけ
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になるのでしょうか。Keylargo 2と比較すると、USB 1.0が削除されるなど簡略化が進む一方、ATA/133の搭載など強化部分もあります。ATA/133に関しては、教育機関向けiMac G5の40GByteのATAドライブ搭載用とされていますが、今後のPowerBook G5の布石とも受け取れます。
さて、Serial ATAドライブへの連続書き込みテストが振るわなかったのはなぜでしょうか。ドライブベンチマークテストは同じテスト環境を用意することが大変難しいテストでもあります。今回のテスト環境に問題があったと説明しても良いでしょう。しかし、新しいShesta I/O Controllerに問題が隠れているとしてもおかしくありません。とくにデバイス内部のキャッシュポリシーの設定によっては、スループットが半分程度に落ちることはこれまでも観測されてきました。
Shesta I/O Controllerの熟成が進めば、こうした問題はすぐにクリアされるでしょう。それまでは、ボトルネックの無いこと
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が確認されたU3 Lite周りの強化、とくに大量のディスクアクセスを抑制するために、メモリは多めに積んでおくことがiMac G5の本来の性能を発揮するために必要なことであると感じました。
Apple StoreではBTOでメモリ増設ができます。筐体内部へのアクセスは簡単ですから、ご自分で拡張することも可能です。このとき注意すべきは、同じ構成のDDR SDRAMを二枚挿入すべきと言うことです。iMac G5は違う容量、あるいは構成のSDRAMを使用することもできますが、この場合64 bit バスモードで動作します。性能を100%発揮するには同じ容量、構成の2枚のSDRAMを使用すべきで、この場合128 bitバスモードで動作します。したがって、標準構成の256Mbyte DDR SDRAMは取り外して、拡張することになるでしょう。1GByte DDR SDRAMはまだ高価なので、512MByte DDR SDRAMを二枚、1GByte構成にするのがコストパフォーマンスが良いと思います。
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