拍手とともに現れたジョブス。キーノートの冒頭は、不評な丸いマウスの画像から始まりました。誰もが知っていたことなのでしょう、場内から苦笑がもれます。楕円形のマウスパット不要の光学マウスの映像が出たとき、大きな拍手がわき上がりました。Apple Pro Mouseと呼ばれ、iMacを含めたデスクトップ機の標準となるようです。
次はおなじみのPentiumとの比較ベンチマークテストです。最初はG4の500MHzとPentiumの1Gで比較テストが行われ、それぞれ100秒と124秒と若干 G4が勝ったところで、「一つより二つの方が早いに決まっている」という台詞と共に、500MhzのG4 DUALプロセッサマシンのデモンストレーションが開始され、ベンチマークを61秒でこなし、大喝采を浴びました。
さっそく発表されたDeveloper Note: Power Mac G4 Computer (PDF)を見てみましょう。047_Power Mac G4 DUAL Block Diagramに示したように、これまでのPowerMac G4との違いは小さく、CPUを二つ搭載するにあたりMAX BUSプロトコルが採用され、Ether Netの物理層が1000Base/Tに対応したことぐらいしか変化はありません。
またしてもFireWireのLink Layerが外部PCIバス上にあるとの記載があり、実際にどのように実装されているのかが気になるところです。
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もう一つのG4を搭載する小さな筐体、048_PowerMac G4 Cubeは冷却ファンを搭載しないG4 システムとしてリリースさました。本体上部には、比較的大きな冷却用の孔がもうけられており、果たしてどの程度の熱が発生しているのか興味深いところです。
Graphic Sub Systemは今後のグラフィックチップの変更に柔軟に対応できるようになっているようです。
懐かしいのはApple display connectorでしょうか。NeXT MegaPixcel Displayを彷彿させるこのコネクタは、今風にデジタルビデオ信号を含み、液晶ディスプレイになら電力を供給し、USB信号も含まれています。付属するharman/Kardon社のクリスタル細工のような小型のスピーカーはUSBで駆動されるという徹底したもので、机の周りの配線が少なく済むよう考慮されています。
新しくなったキーボードは、筐体の透明度が上昇しただけではなく、Multi-Media Control Keyと呼ばれる音量調節とEjectキーがテンキーの上の部分に用意されています。
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048_PowerMac G4 Cubeなどの新しい機種にはiMovie 2がバンドルされ、有償ながらもiMovieがダウンロード出来るようになるそうです。
iMacにも変更がありましたが、変更点は搭載CPUのクロックが最大500MHzになったことと、ATI Rage 128 Pro 4XLへの変更の2点で、噂された750CXの搭載はありませんでした。MacOSでの750CXの実力を評価できると期待しただけに、少し残念ではあります。
さて、今回の発表をみてAppleの方向性について考えてみました。拡張ボードを加えていく方法ではなく、USBやFireWireを介して増設する方法をとった048_PowerMac G4 Cubeは、CPUの存在そのものをなくす方向に見えます。ユーザーは必要な機器を自由に配置することに専念し、CPU自体はより小さく、存在感を減らす・・・実装密度を上げ、発熱を減らす方向、まさにノート的発想です。
Wintelはクロック周波数だけではなく、確実にそして急速にその消費電力も小さくなっています。非常に優秀な競争相手を持ち、日々新製品が発表されています。それと比較すると、G4を二つのせて特殊なアプリケーションの速度を競うプレゼンテーションはやや興ざめでした。しかし、048_PowerMac G4 Cubeの発表は「あっ、あれ一つあってもいいな」と久々に思わせるものでした。是非、実物を見たいものです。
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