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13/Jan 2004
REX-Link1 and sonica

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957_ M-AUDIO sonica
957_ M-AUDIO sonica

USBオーディオ無線デジタル伝送システムREX-Linkのレポートを作成するにあたり、リファレンスが必要であることに気づき、急遽入手したのがM-AUDIO sonicaである。

1万円以下でDolby Digital AC-3、DTS、Dolby ProLogicのデジタル出力をサポートした唯一のデバイスである。これと今となっては旧式な組み合わせではあるが、BOSE社の5.1chスピーカーシステムとPioneer のAC-3デコーダーVSA-D7を組み合わせ、REX-Link1と比較検討した。

958_ M-AUDIO sonica and PowerBook G4 17-inch

sonica自体は非常に小型、軽量である。基本性能として24Bit 96KHz S/PDIF(光出力)とミニピンアナログライン出力を備えており、インナーイヤー型ヘッドホン程度ならドライブ可能である。付属品は同色のUSBケーブルとインストールCD、そして日本語インストールマニュアルとシンプルな構成だ。

内部にはUSBインターフェース部分に8bit MPUコアとUSB Audio codecを内蔵したTAS1020A、ADコンバーターにはデジタルオーディオトランスミッタを内蔵した、AK4353が使われている。AK4353はデジタルボリュームや8倍オーバーサンプリングなどのデジタル処理部分とアナログローパスフィルタを組み合わせた、96kHz 24ビットDACで、旭化成製品である。

958_ M-AUDIO sonica and PowerBook G4 17-inch

959_ sound control panel
960_ M-AUDIO sonica control panel

959_ sound control panel

ドライバーインストール後、sonicaを接続すると、出力メニューにリストアップされる。AK4353は左右の音量調節が可能であり、左右バランスと主音量の調節は本体スピーカーとは別に調節可能で、状態も保存される。後述するREX-Linkにはドライバーの必要はないが、左右バランスは調整できない。

960_ M-AUDIO sonica control panel

SRS Labs, Inc.ライセンスのTruSurround XTがインプリメントされている。もちろん、sonicaを通した場合のみ適応され、本体スピーカー出力や、DVDプレーヤからのデジタルスルー出力は影響されない。TruSurround XTをDVD音声に適応させるには、DVDプレーヤの環境設定でオーディオ出力を「デジタル出力-sonica」から「システムサウンド出力」へ切り替える必要がある。

TruSurroundとTruBassは独立して設定できるが、台詞を明瞭化させるDialog ClarityはTruSurrundと組み合わせる必要がある。

961_ ratocsystem REX-Link1

2003年全日本Mac系大忘年会で入手したのがラトックシステム社のREX-Link1である。Bruetoothと同じ周波数帯の2.4GHzを利用したデジタル転送方式で、周波数ホッピング方式を採用し、電波干渉を防いでいる。独自規格のため、受信機への送信機登録作業もなく、電源を投入すれば、あっさりと認識される。

送信側は11g、20×70×8.9mm、受信機は53gで高さ86.2mm、直径45mmの円筒で、最大幅が57mmと小型軽量である。ただし、レシーバーにはACアダプターが必要。

961_ ratocsystem REX-Link1
962_ CR-TXB01

963_ CR-TXB01,CR-RXB01 and AC adaptor

962_ CR-TXB01

送信側は6cm近く突出するため、取り扱いには気をつける必要がある。受信側のCR-RXB01には長さ1mの光デジタルケーブル(光角形ー光丸形)が付属しているので、光角形コネクタを持つAV機器にはすぐに接続できる。ただし、受信機側のオーディオ出力端子はアナログ、光デジタル共用で、2系統同時出力はできない。

44.1kHz、16bit stereoのCDクオリティオーディオを転送するには1411.2kbps必要であるが、REX-Link1の場合、512kbpsから384kbpsまで圧縮してからデジタル転送している。Bluetooth audioやMP3と同様、Subband codec方式で音声を圧縮し、受信機側で44.1kHz、16bit stereoのS/PDIFまたはアナログ信号へと変換してる。

AirMac ExtremeおよびBlutooth mouseを併用している環境で使用したが、普通に見通しのきく状態であれば、音声の途切れは認められなかった。しかし、受信機をラックの後ろなどに設置すると、障害物の有無によっては音声が途切れた。接続インジケーターが非常に目立つ構造になっているが、飾りではなく、必要な機能であるとが実感される。


2003年第5回マック系大忘年会のビンゴ大会でラトックシステム社提供のREX-Link1をありがたく頂戴しました。さて、忘年会の賞品には「宿題」があります。使用レポートを書かなくてはならないのですが、少し困ってしまいました。というのは、USBオーディオを無線転送するという明確な目的と、シンプルな製品構成のため、何か工夫するとか、苦労したとか努力が必要ないからです。

それならば、音質はいかがなものかと、問われるでしょう。しかし、音質ほど主観的なものはなく、表現が大変難しい、さらにいえば音源自体がMP3などで圧縮されていて、比較検討するためのリファレンスに欠けるからです。そこで、REX-Link1を評価する前に、リファレンス機器をそろえる必要がありました。

PowerBook G4 800 DVIから、Audio回路はSnapper Audioとなり、デジタルフィルター、デジタルミキサーなど音声回路のデジタル化が進み、最新のPowerBook 15inch fw800

は、44.1kHz、24bit処理へとPowerBook本体の音質が向上しています。ただ、最終的にはオーソドックスなアナログアンプを採用し、電源回路もロジックと共通で、クリーンな音声を取り出すには、デジタル出力が必要でした。非圧縮ソースとしてAIFFファイル、5.1chソースとしてDVDの「T3」を、インターフェースにはM-AUDIOsonica、デジタルサラウンドプロセッサアンプにpioneerのVSA-D7、スピーカーにはBOSEのAM-10を使用しました。他にも光デジタルセレクタを購入し、REX-Link1の音質を検討してみることにしました。

BOSEのAM-10と5.1chサラウンドプロセッサの接続はやや特殊なので補足いたします。サラウンドプロセッサの5.1ch音声を一旦5chにミックスしています。すべてのチャンネルに均等配分された低音成分は、AM-10側のアナログ回路で分離され、スーパーウーハーをドライブする仕組みになっています。またスピーカー位置はリアとセンターが目線よりも少し上、左右のメインスピーカーは目線よりも下で、高低差は50cm〜70cmあります。

リスニングポイントはすべてのスピーカーのほぼ中央で、スピーカーのディレイもすべて設定済みです。いずれも、TruSurrund TXの利点であるスイートスポットの広さを相殺する設定といえるでしょう。

ファレンスとしたsonicaの音声は、エフェクトなしでは、クリアで自然です。音声は前に寄り、目線より少し低い位置に集まる感じです。音楽の場合はそれでよいのですが、DVDソフトではパンチに欠け、臨場感がありません。

TruSurrund TXをアクティブにすると、音が広がります。音楽ソフトをcinema modeで聴くと、楽器が前方に固まって不自然ですが、Music modeにすれば自然です。特徴として、縦方向の位置補正が感じられ、音が目線の高さに移動します。ちょうど楽器の間ににまぎれてリスニングしているような感じです。DVDソフトでは、迫力が少し出て、左右140度程度まで音が広がります。台詞は明瞭ですが、音源の定位はもっさりしていて、はっきりしません。


TruBassは、スーパーウーハーなど低音用スピーカーがある場合でも、低音がしっかり聞こえて迫力が増します。しかし、普通の音声が引いてしまう感じがするので、使用するか迷うかもしれません。低音成分を増すのではなく、聞こえやすくする技術なので、ヘッドホン使用時には有効でしょう。

TruSurrund TXをすべてオフにしてS/PDIF経由の信号をデジタルサラウンドプロセッサ側のドルビープロロジックデコーダーで処理をさせました。音の広がりはTruSurrund TXよりも広く、200度程度まで広がりますが、サラウンド部分の定位はTruSurrundと同じ程度ではっきりしません。音楽ソフトだと、頭の中で音が鳴り響く感じがして、ヘッドホンをしているような感じがします。

DVDプレーヤを使ってデジタル出力を行い、デジタルサウンドプロセッサ側でAC-3音声を5chに分解した場合は、音はクリアで

定位がはっきりしています。サラウンド部分の粒子が細かくなることで台詞も際立ちます。PowerBookでDVDを視聴していても、大画面でみているような錯覚さえおこしてしまいました。

REX-Link1を使い、デジタル無線転送し、S/PDIFを使ってデジタルサラウンドプロセッサに入力した場合、sonicaの非圧縮音声と比較しても大きな差は認められませんでした。よく聞けば透明感が違うと予想したのですが、全体に旧式でチープなモニター環境では差を見つけることはできませんでした。これはドルブープロロジック処理を行ったときも、予想に反して特に問題は認められません。この環境では無線伝送のためにSubband codecで圧縮した影響が出なかったといえます。

もちろん、AC-3出力と比較してしまうと、色あせてしまいますが、電源以外を無線化している環境で、音声のみ太いアナログケーブルを用意したり、

USBケーブルを引き回したりしなくてすむというメリットは他に代え難いものです。FM伝送やアナログ接続のs/n比の低さに辟易した経験のあるユーザーなら、無音時に、まったくノイズのないUSBオーディオ無線デジタル伝送システムに興味を持つに違いありません。そうした意味では、他に選択肢が少なく、ユニークな商品といえます。

有線でもよいというユーザーには安価なM-AUDIO sonicaをお薦めします。TruSurrund TXは手軽にサラウンドを味わえるでしょう、また、デジタルサラウンドプロセッサやスピーカーに投資すれば、AC-3やDTSの再生が可能です。

い将来PowerBookにも音声光入出力が装備され、bluetooth audioデバイスが広く選べるようになるでしょう。それまでは、こうしたデジタル音声インターフェースがPowerBookの新しい利用方法を切り開くかもしれません。

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Written/Edited by Y.Yamamoto M.D.
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