内部構造がある程度公開されましたので、その基板について考えていきたいと思います。
まず152_iBook (Dual USB) Exploded Viewをご覧ください。ATi RAGE MobilityやOn Bord SDRAMの装着場所以外はほぼ予想通りの位置にありました。冷却ファンはPowerBook G4と似た位置にあります。
153_iBook (Dual USB) Exploded View (reverse)は裏側です。ATi RAGE Moblity 128は内部に8MbyteのDRAMをEmbeddedし、熱設計時の消費電力は2.3Wと、おそらくCPU、Pangea ICについで発熱のあるチップです。PowerBook G4の場合、ヒートシンクの関係で表側に設置されていましたが、厚みに余裕のあるiBookではSDRAMと併せて裏側に設置されています。場所はちょうどハードディスクの裏側にあたります。PowerBook G4よりも薄い、9.5mmまでのハードディスクでしか搭載できないのは、ここに原因があるようです。
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PowerBook G4はKeyLargo ICからATA/66とEIDAが別系統で供給されていて、ATA/66にはハードディスクのみ、大変短いフィルムケーブルで接続されています。PowerBook FireWireもそれよりは長いケーブルですが、ハードディスクのみが接続されています。
これに対し、iBookの場合、Pangea ICからは一系統のATAしか供給されていません。ハードディスクと光ディスク装置は一系統のATA/33にマスター・スレーブ接続されています。それが152_iBook (Dual USB) Exploded ViewのInternal ATA cableですが、このフィルムケーブルは長く、そして折れ曲がり、電源基板の直上を経由して設置されています。場合によると、このケーブルの状態を考え、ATA/66ではなくATA/33接続になっているのかもしれません。*1
iBookを操作していると、左側のパームレストが熱くなってくるそうですが、その下には約4.7Wの消費電力のあるハードディスクがあるためでしょう。
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Pangea ICと750CXの上には共通のヒートスプレッダーがあり、ヒートパイプで伝わった熱は、ファンの手前にあるフィン付きのヒートシンクに導かれています。この構造は熱が籠もりやすい頑丈なポリカーボネイト筐体では不可欠な構造だろうと予想されます。心配なのはATi RAGE mobility 128と発熱の大きなHardDiskが背中合わせにパームレストの下にあることでしょう。おそらく基板下面を覆うようにして取り付けられたEMIシールドをヒートシンク代わりにしていると思いますが、この部分の冷却は最終的には冷却ファンで廃熱することになります。実機を詳細にのぞき込むと、裏蓋と基板の間にPowerBook G4では認められない、隙間が広くあいていました。この隙間は冷却のためには必要なものだったのでしょう。
こうして考えると、 PowerBook G4は薄いため廃熱処理に大変苦労したあとが見えます。グラフィックアクセラレータの冷却ポリシーの違いは今後のiBookとPowerBookの発展を占う上で重要なポイントだと思います。
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*1
確かに長く、そしてトリッキーに折れ曲がったフィルムケーブルで接続されいますが、ATA33に固定されている原因はそこになかったようです。
iMac FlowerPower 600MHzのDeveloper Noteを見ると、Pangea ICから供給されるATAバスは66MHzであるという表記があります。しかし、実際に600MHz機でベンチマークテストを行うと、ディスクバッファーがヒットする2メガバイト以内でのアクセスでも、転送速度は約30メガバイト/秒で頭打ちになります。このことからPagea ICに統合されているKeyLargo ICは、まだATA-66で動作できないことが予想されます。
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Appleのリリースする統合ブリッジチップは、これまでの所定の性能を発揮できず、ドーターカードにEthernetやFireWireのLinkLayerチップが乗ってリリースされたバージョンがあるなど、興味深い事実がありました。*2
おそらくPagena ICもリビジョンがあがればATA-66を実現するでしょう。
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*2 Uni-North ICの謎
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