iBookを誰がはじめに分解して公開するのか、誰もが注目していた中、詳細で美しい写真を最初に公開したのは須山@はい、須山歯研です!氏でした。
今回は、氏の好意に甘え、写真を使わせていただくことができました。ロジックボードの写真を眺めながら、新しいiBookについて考えていきましょう。
155_PowerBook G4 and iBook logic boardではPowerBook G4とiBookの基板を同じ縮尺で並べたものです。筐体の小さなiBookが、実はPowerBook G4よりも大きなロジックボードを搭載しています。確かにPowerBook G4はPMUボードを別に持っているため、あわせると同じぐらいの面積になります。しかし、G4の方が構成するチップが多く、集積度は明らかにPowerBook G4が上です。
使用されているチップを見てみましょう。154_iBook (Dual USB) logic Boardは基板裏側ですが、各種の物理層インターフェースが並んでいます。
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Ethernet
イーサーネットにはPowerBook G4と同じBroadcom社のBCM5221 *1が使用されています。低消費電力で、クロスケーブルが不要なAuto-MDIX機能を搭載しています。これでAppleのポータブル機すべてにAuto-MDIX機能が搭載されたことになります。
FireWire
Pangea IC内部にリンクレイアーを持つため、外に出ているのはTEXAS INSTRUMENTS社のTSB41ABA1 *2で、これもPowerBook G4と同じものです。
Tumbler Audio
一番興味深いのはTumbler Audio回路でしょう。iBook SEやPowerBook G4が搭載するScreamer audioはMICRONAS社の
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DAC3550A *3とNational Semiconductor社のBoomerオーディオ・パワーアンプシリーズ、LM4863 *4で構成されています。DAC3550Aはミキシング、音量とエンファシス解除を内部のアナログ回路で処理します。これに対し、iBook Dual USBやPowerMac G4 Digital Audioが搭載したTumblerオーディオにはTEXAS INSTRUMENTS社のAudio CodecのTLC320AD77C *5が使われています。ミキシング、エンファシス解除がデジタル処理されます。
ただし156_PowerMac G4 Digital Audioの場合、増幅にもデジタルアンプが使用されています。DigitalからAnalogへ、さらにTA1101B *6内部でDigitalに変換され増幅されてAnalogに戻りPro Speakerをドライブします。それと比較するとiBook Dual USBはTLC320AD77Cの出力は従来同様LM4863で増幅されています。この部分はデジタルではありません。ただ、性能曲線を比べれは、1.5Wぐらいまでの出力であればほぼTA1101Bと同じです。もちろんPro Speakerを接続できるほどのパワーはありません。
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Tumbler Audioだからすばらしい性能向上があるのでしょうか。Screamer Audioを搭載するPowerBook G4で、Apple CDオーディオプレイヤーを使って音楽を聴くと、その経路はほとんどがアナログ回路を経由することになり、確かに高音域で音割れがあって、透明感がありません。ただ、iTunesで再生しているときは、Screamerのデジタル側を利用して音楽を聴けます。フィルターなどがアナログ回路ではありますが、ちょっと聴くぐらいであれば、特に問題を感じません。
Tumbler Audioの音の良さをわかるには、相当よく聴き比べる必要があるでしょう。
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謝辞
写真使用を快諾していただいた須山@はい、須山歯研です!様には大変感謝しております。こんごともどうぞよろしく御願い申し上げます。
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*1 Broadcom BCM5221
*2 TEXAS INSTRUMENTS TSB41AB1
*3 MICRONAS DAC3550A(PDF)
*4 National Semiconductor ML4863(PDF)
*5 TEXAS INSTRUMENTS TLC320AD77C
*6 TA-1101B Technical information(PDF)
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