A:ある種のハードディスクが発する磁気の影響で、PowerBookの磁気センサーが誤動作して起動障害を引き起こしています。磁気シールドを設置すると、問題が解消する場合もあります。
これははじめ、数台のDARA-212000とPowerBook G3 Series 1998 (wallsteet)の間で問題になった、起動不良に端を発します。DARA-212000を組み込んだPowerBookで、組み付けた最初だけしか起動せず、スリープさせたり、電源を切ったあと、再度起動しようとすると、「ブチ、ブチ」という異音が発生し、電源がはいらないという問題が何件か起こったのです。*1
解決法としては、起動する度にハードディスクを脱着するというも、渡辺氏の考案した、ハードディスクを絶縁して搭載するというものが有りました。
小出氏はこの問題の解決の糸口を発見しました。氏は、起動時に磁石でリターンキーの横を何度か往復させることで、PowerBookを見事に起動させることに成功したのです。
この知らせを聞き、調査を開始した結果、DARA-212000は他のハードディスクと比較すると、コネクタとは逆の部
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分、513_wallstreet hard disk cageで赤く示したところの磁気が強く、たとえばハードディスクでゼムクリップを吸着し、持ち上げることができるのです。
その磁気が、512_magnetic sensorのセンサーに影響し、誤動作することが判りました。このセンサーはパワーブックの液晶ベゼルに組み込まれた磁石に反応し、パネルが閉じられたことを関知するものです。
問題はDARA-212000に固有のものではなく、最新のDJSA-210000を使用したkakurai氏にも起きました。そこで、氏にお願いし、この磁気を遮蔽する工作をしていただきました。
方法は、0514_cutterの刃を適切な長さに折って、それをライターなどで炙り、熱を加えることで帯磁を消し去ります。そして、0515_Macnetic shieldの部分にビニールテープで貼り付け、絶縁して頂きました。氏は現在、問題が解決しているそうです。
サカキバラ氏には、保存してあった、問題が発生したDARA-212000を、再度組み付けていただき、追試をお願いしております。現在、長期テスト中ですが問題は解消しているそうです。
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異物をPowerBook本体内部に装着しなくてはならないため、保証などの面で不安は残りますが、古くなったPowerBookに最新型のハードディスクが使用できないことがあるのは気がかりなことでした。
この解決法を試すときは十分注意して頂きたいと思います。
DARA-212000、DJSA-210000に発生する全ての問題の解決を保証するものではありません。改造、改修は自己責任の範囲で行って下さい。問い合わせは私までお願いします。
28/Sep 2000
その後、DJSA-220000に換装したお二人より、相次いで障害解消が確認されたとメールを頂いております。
謝辞
すばらしい観察力をお持ちの小出様、そして電子メールのお願いだけで検証に参加していただいたkakurai様、追試の為に古いハードディスクを再度組み込んで頂いたサカキバラ様に感謝いたします。
*1PowerBook G3 Seriesに換装可能なHardDiskの種類について *57
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