BlueChip LSの性能をベンチマークテストやアプリケーションの操作感でおつたえすることにしましょう。
169_BlueChip LS Prototype benchmarks with Norton System Infoには一般的なSystem Infoの値をお示しします。CPUスコアは1376で、FPU性能と合わせPowerBook FireWire 500よりも良い値を示しています。ファインダーの操作や、MacOS Xのウインドウのドラッグ、IEの画面のブラウズなどノーマルでは味わえない「サクサク感」を感じることができました。
もちろんAlitVecが関連する場合は確実に速度向上が認められます。
Mozart,PIANO SONATA NO.11 in A major K.311は11.55秒の長さがあります。これをiTunesでMP3に圧縮するときの時間を測定しました。全て同じ条件で測定した結果、PowerBook G3 333/14では364秒(6分4秒)かかるところを、BlueChip LSを搭載した場合、177秒(2分57秒)で終了しました。同じ曲を最新のiBook Dual USBで変換した場合253秒(4分13秒)かかることを考えると非常に優秀な結果といえるでしょう。同様にPhotoshopの一部のフィルター処理などで確実に速度向上が、それも2倍以上の改善がみこめます。
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これは170_PowerBook G3 Series 1999 Block diagram and NSI scoresに示しましたが、CPUとL2キャッシュが新しくなっただけでも、性能が向上し、AltiVecが活躍する場面ではG3ベースのCPUでは達することができない高速性を手にすることができるという意味です。
172_Memory performance PowerBook FireWire 500 vs BlueChip LSにキャッシュパフォーマンスの一例を示します。G3はそのL1キャッシュの構造(正確にL1キャッシュおよびL2キャッシュタグの構造と、ロードスストアユニット、Qeueやバッファーなど)の違いで、隣接するメモリへのアクセスするときの性能に大きな開きがあります。休み休み動くG3と比較するとG4は、できるだけよどみなく動作する仕組みが各部分に織り込まれています。その結果、最大4倍違い性能の違いが実測されました。この結果はPowerBook G4の時に確認した物で、BlueChip LSでもしっかりと実現していることがわかりました。
しかしながら、171_MOTOROLA MPC106ARX66CGを使用する関係で、MPXバスプロトコールを利用できないため、クロック比通りにバスの性能は低いまま取り残された格好となっています。
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MPC106は旧来の製造技術で作成されているため、高い周波数で駆動するには、より高いコア電圧を要求し、発熱量も大変大きな物となります。そのため、この部分に手を加えることができなかったのだと想像します。
それでもMac OS Xのドッグアニメーションやジニーアクションなど非AGPマシンには厳しいギミックも、軽くこなすことができるようになったのは、クラムシェルボディーを愛するPowerBookユーザーには朗報といえるでしょう。
しかし、良いことづくめではありません。プロトタイプ故、安定性に欠ける部分もあります。発熱量、消費電力、速度と引き替えに犠牲になる部分は、Wallstreet用BlueChipには無かったものです。またMacOS XにまつわるLombardの問題も再浮上の兆しです。次回はこれらの問題点をはっきりさせるとともに、製品版BlueChip LSへの要望をまとめたいと思います。
注意
これらの情報は製品になる前のprototypeを対象に評価しています。性能や安定性、問題点などは製品版と異なる場合があることをあらかじめご了承ください。また正式発表前の製品であることから、PowerLogix、PowerLogix Japan両社への問い合わせなどはご遠慮していただけると幸いです。
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