BlueChip G3 466は、私の環境では安定しているようです。純正と比較して特にフリーズが増えたという感覚はありません。ただし、速度向上もあまり感じられない、というのが正直な感想です。
その原因に、体感速度に大きく影響する画面描画速度にあまり差が認められないことが関係するでしょう。今回は安定性の追跡は継続しつつベンチマークテストを施行し、「体感性能」と「実測性能」のギャップを眺めてみることにしましょう。
109_PowerLogix Blue Chip G3 Bench MarkにはPowerBook G3 Series 1998にBlueChip G3 466を装着した時の、ブロックダイアグラムと、各部のスループットを考える上で参考に出来る、NortonのSystem Infoの結果を示したものです。PowerBook G3 Series 1998の300MHzを333MHzにクロックアップした基本システムの性能を1として、同じ機能拡張、メモリコンフィグレーションのBlueChip G3 466の結果を相対的に示しました。参考として現在入手できるPowerBookでは最高性能のPowerBook FireWire 500MHzをMacOS 9.0.4でセットアップしたときの値を併記しました。
L2 cacheメモリのクロック周波数がPowerBook 500 (FireWire)の200MHz
|
よりも高い、233MHzであるBlueChip G3 466の方が、内部処理は高速であることが判ります。浮動小数点演算や、内部レジスタ演算の繰り返しといった処理はCPUクロック周波数に比例しますので、500MHzの方がすぐれていますが、外部I/Oをアクセスしない、1Mbyteのキャッシュメモリに収まる処理は、PowerBook中最速で、アップグレード前の1.4倍の性能があります。1.4倍の速度差は確実に体感できるはずです。
しかし、ATA66(実測でもピーク値で2倍の性能差が認めれます)やAGP接続のRAGE Mobility M3を搭載するPowerBook FireWireと比較すると、IDEインターフェースやグラフィックアクセラレーターの交換が出来ないPowerBookのアップグレードには限界はあります。
例えば、CPUとグラフィックアクセラレーター間速度をよく反映するDrawテストの値は、同じ液晶モニタを搭載するPowerBookで倍近い差が認められます。RAGE LT ProとRAGE Mobility M3の内部処理の比較として、スクロールテストをみても、4割以上の性能差があり、アップグレードによる変化は、ほとんどありません。
110_PowerMac G4/AGP/RAGE 128 vs. BlueChip G3 466/PCI/RAGE LT Proに
|
MacBenchで測定したグラフィック関係のベンチマークをお示しします。実際の使用状況に近づけるため、このテストは欧文ではなく、日本語フォントをアンチエイリアスをONにして表示するよう改変し、24bit(1600万色)で計測しました。PowerMac G4 400にはRAGE 128カードがAGP接続されており、PowerBookと同じ1024×768ドットの状態で測定した結果を1としたときの、BlueChip G3 466の相対値を表しましす。全体に3割から6割程度の性能しかないことが判りますが、DrawText-Largeなどが健闘していたり、DrawPictureなど、PCI接続というボトルネックを感じさせない結果もあり、CPUの能力の高さを感じさせます。しかしCopyBit処理など、グラフィックチップ内部の処理を見ると、LT Proの古さを感じ、画面のクロールなどの大切な部分で、体感速度をスポイルしていると考えられます。
文字表示などは、まだCPUの能力に大きく依存し、例えばキャッシュの無いPowerBook G3 233/13とでは、5倍以上の速度向上もあるという試算もあります。アップグレード前の機種によっては、その効果は絶大であり、最高機種からのアップグレードには、買い換えでは得られない満足感があるのかもしれません。
|