小児喘息治療のearly intervention(早期介入)として、発症の危険性が高いと考えられる小児に対する発症予防と、既に発症してしまった小児に対する発症後早期からの重症化、難治化予防があります。特に後者については、喘息の慢性の気道炎症が、気道のリモデリングを進行し、気道過敏性の亢進や、不可逆的気道病変を引き起こすと言う考えから、発症早期より積極的な治療介入を行うことの有用性が成人領域では示されています。しかし、小児喘息の多くは乳幼児期に発症しますが、必ずしも典型的特徴を示さず、こうした発症早期の対象者をどのように選択し、何を指標として治療効果の判定をするのかなど検討すべき点が多いといえます。そこで、乳幼児あるいは小児の気管支喘息患児および、気道症状を示す非気管支喘息児を含む外来受診者を対象に、症状、所見、診断、方針、治療をはじめとする診療情報を網羅的に蓄積し、定量化するための入力および分析装置を試作しました。
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対象ならびに方法
平成15年2月28日から平成16年3月1日までの1年間に小児科外来を受診したのべ15693人で、気管支喘息および気道症状を示し追跡可能であった823人、のべ8565回の受診を対象としました。
方法
効率よい診療情報収集と今後計画している統計学的処理、また従来の評価方法との比較検討のために、入力およびコード化作業の仕組みを開発しました。
結果
4名の医師による入力が行われ、所見など26513エントリーが蓄積さました。所見マスターとして新たに325×11エントリーが用意され、エントリー後の修飾作業により、2〜5種、あるいは文字による修飾により、非コード化情報とあわせて、実際の診療記録に十分使用可能な所見入力を行いました。823人、のべ8565回の診療のうち、気管支喘息確定者は535名、4687診療回数でした。
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考察
電子医療情報の国際的標準化を目指し、ISO TC215をはじめとする標準化活動があります。しかし、こうしたコード化および標準化作業は、疾患によっては情報粒度の過不足が生じる恐れがあり、特定分野における診療支援に限るなら、情報粒度を動的に設定できる独自のコード体系が必要と考えました。また、陽性所見だけではなく、陰性所見を正しく、必要なものを記載させるには、一定のルールや手法が不可欠であることもはっきりしました。スコアリングや点数化などの従来の手法との比較検討が必要なことや、診療業務中に平行して入力作業を行うには、診療支援部分を拡充し、医師にシステムを使う動機づけが必要だともはっきりしたのです。以上をふまえ、単なる診療情報を蓄積し統計処理するための装置ではなく、データベースを構築することを目標にデザインされた入力装置を、いかに実
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