PowerBook G4は大変薄く、また軽く作られています。たとえば、545_PowerBook G4 Slot-loading DVD mechanismのように、本来アッセンブリーにあったと思われるフレームが取り払われ、一部のこっているフレームもくり抜かれて軽量化されていることがわかります。
この状態でPowerBook G4内部のカーボンフレームに装着されているのですが、フレーム自体は大変柔らかく、製作精度の問題でCDが出口に引っかかって、出てこない場合もあるようです。CD-ROMや音楽CDの中には精度が悪く反っているものもあります。ただ、DVD-ROMは精度も高く、反っている物はほとんどありません。DVD-ROMが引っかかって出てこない場合は、本体側に異常があると考えるべきでしょう。
たとえば、546_ the clogged CD-ROMの黄色い矢印の部分を上から押さえる、DVD slotを上方押し広げてみる、すこし手を貸してやるとCDが排出されます。組み付け精度に問題が出ているのでしょう。
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PowerBook G4 DVD ROM Update 1.0でDVD ROM内部のファームウェアをHA15からHA18にアップしてみました。イジェクト時にCDが詰まると、「カチカチカチ」と強制排出動作を行うようになりましたが、根本的な解決にはなりませんでした。また、内部のローラーをアルコールなどでクリーニングしてみましたが、効果は持続しませんでした。
度重なる不具合に対し、修理をお願いしたところドライブ本体だけではなくトップケースの交換も行われていました。従来の547_ DVD slotは繊細で、デザインは優れていたのですが、交換されてきたトップケースは、PowerBook G4 Gigabit EthernetやPowerBook G4 DVIと同じスロットが広がった物でした。
スロットが大きくなったことで、クリアランスが改善し、経年変化でボディ剛性が低下して、組み付け精度が低下していても、CDが詰まることがなくなったのでしょう。
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さてPowerBook G4 Gigabit EthernetとPowerBook G4 Titaniumではキーボード固定用の爪位置が違い、冷却フィンの構造が異なるため、トップケースの流用は出来ません。補修用トップケースは新設計ということになります。PowerBook G4 Titaniumのトップケースで気になる部分は、ラッチのロック部分の構造です。548_ PowerBook G4 retractable latch systemのように、PowerBook G4は磁気で液晶リッドからラッチが出てきます。液晶を閉じて、上から力を掛けるとラッチ部分に力が集中し、ロック機構で支えきれない力が、トップケースの一部分に集中し、カーボン樹脂のフレームを破損してしまいます。PowerBook G4 Gigabit Ethernet以降は、トップケースの設計変更にともない、このようなトラブルはありません。残念ながら補修用トップケースは変更されていませんでした。
デザイン的にはスロットが目立ってしまうというデメリットもありますが、補修後Airmacの受信感度が改善したことは、うれしい誤算でした。
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