一文字

総合評価加算の対象を自動的にシステムでピックアップしているのだけど、MSA 2.6cm^2を間違えて多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)と読み間違えていたので、後ろに数字が来るときはステント内最小面積(MSA : minimal stent area)だと登録しました。

もともと、脳底動脈狭窄に付随した脳梗塞の記載があるのに、対象漏れとなった指摘の調査でした。確かにシステムはカルテ全文検索で脳梗塞を見つけていたけど、I669(脳動脈塞栓症)とマッピングしていたにもかかわらず、「脳血管障害」として認識していないというオントロジー的な問題で、これも解釈エンジンの脳血管障害の定義が狭かった(たった一文字余計に書かれてた)ことが原因。1文字削除したら何も無かったように動き始めたわけです。

そういえば先日、入院ロジックに障害が発生し、システムがストール、余計なリカバリが発生して処理能力的にも、処理内容にも障害発生したときも、データベースロック回避のルーチン中の1文字欠損が原因。

一文字に泣かされる毎日ですが、ここまで複雑になると、利用者の指摘がとてもありがたい訳です。障害確認から原因探索、そして法令の確認(今回は介護保険法施行令第2条各号の内容確認が必要)、専門家に解釈の確認を行い、システムロジックの修正、修正報告までを30分で終わらせました。フィードバッグをしっかりすることで、興味をもってくれたかもしれません。

FileMakerからCP932の出力

ソケット通信用の固定長のデータをfileMakerで出力する目的でShift-JISで文字を外部テキストファイルとして生成する必要がある。ただし、オリジナルデータは基幹システム上にあってCP932で送付され、ミドルウェアでCP932 -> UTF-8 となっている。

とくに人名に含まれる「﨑」「彅」「髙」などの拡張文字がはいると、Shift-JISに変換するときにまったく出力できないという問題があった。

これまで、最後に改行を含まないデータを出力する場合、BaseElemntプラグインを使用し、BE_SetTextEncoding ()でshift-jisにしていた。これをCP932に設定しても動作せずオーバーヘッドを無視するなら、別にインストールしたiconvを使い、UTF-8で出力したファイルをCP932に変換するなど行う必要があった。

ファイルメーカー標準のフィールドのエキスポートには、文字コード設定がなく無理と決めつけていたが、オンラインのFileMaker勉強会で質問したところ、FileMaker 16から使えるTextEncode()を使うと良いのでは無いかと指摘された。

具体的にはグローバルオブジェクトフィールドにTextEncode($text,”shift_jis”,4)として一旦作成し、これをフィールドのエキスポートを使って出力し、上記の文字が問題なく変換されていることを確認した。ただし、変換できない文字は半角スペースになることから、正確にバイト長を合わせなければならない、固定バイト長ソケット電文を作成するには問題があった。

そこでさらに、JIS変換後に何バイトになるのかわかるカスタム関数を

GetContainerAttribute ( TextEncode ( w ; “shift_jis” ; 4 ) ; “fileSize” )

として用意して固定バイト長が破綻しないようにできた。非常に有用な知見であった。

RPA

ホワイトカラーの間接業務を自動化するものとしてRPAがあり、デジタルワーフォース、デジタルレイバーなどの呼び名があるらしい。労働人口減少が超高齢化とともに問題視されている我が国で、にわかに注目され積極導入のための試行が始まっている。

従来であれば、人海戦術やワークシフト、アウトソーシングや業務システムのカスタマイズによって乗り切ってきた内容を、24時間稼働可能で人よりも数倍早いRPAで業務効率を高めて、人口減少を乗り切ろうとしている。

RPAにもマクロやODBC程度のものから、AIを使ったパターン認識や高度な判断も組み込んだ与信自動化装置までを同じ言葉で語るのは難しいだろう。ただ、実際に2019年時点でシェア一番の製品を観察すると、出来ることは複雑なマクロ程度で、アイコンの認識にパターン認識を組み込んではみたもの、パソコンの壁紙程度で認識率が落ちる程度のものである。従って判を押す場所を追記するだけ簡単に運用できる手書き帳票が横行する現場では、RPAに対応するため帳票を入力するというもっとも単純な作業を人間が行うという逆転さえ懸念される。

一方で電子カルテを中心にした医療情報システムは、相当な費用と労力をかけて、さらに時間あたりの患者数まで減らしてデジタル化したところである。まさにRPAを導入できる段階にきたにもかかわらず、有資格者が操作するシステムであるが故、責任の所在の曖昧な自動化に非積極的なベンダーが壁となり、未踏の地に近い。

医療者自ら単純作業を自動化、複数の部門システムの情報を収集するためにRPAの設定を行うことに関しては、薬機法に触れない。しかし、電子カルテにRPAが活用されている姿はあまり見ない。まさに、ここにチャンスがあるのではないだろうか。