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12/Mar

Uni-North and CAS Latency

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今回のテーマは「CAS Latencyの違いがPowerBook (FireWire)に及ぼす影響を考える」と致します。これまでのPowerBook G3 SeriesはBronzeもWallstreetもこれらのメモリの性能に影響されませんでした。しかし、PowerBook (FireWire)にCAS Latencyの違う2種類のメモリを使用すると、Appleプロフィールの表示で、異なって認識されることが知られ、場合により性能差が生じる可能性があるのではないか、という疑問が生じたのです。

まずは、SO-DIMMについて復習しましょう。CAS Latencyとはメモリアドレスがセットされてから、実際にデータが出力されるまでの「遅れ」を示します。

 

fig.1 SDRAMの読み出しタイミングの略図。アドレスがセットされてから読み出しが開始されるまでタイムラグがCAS Latency。その他tRCD,tRPを図に示す。

Fig.1に示すように、全体のパフォーマンスはRAS to CAS delay(tRCD)Row precharge time(tRP)に影響され、CAS Latencyはあまり関係がありません。しかし、Burst Lengthが短い場合はCAS Latencyの長短が全体のパフォーマンスに影響する場合も出てくる可能性があります。

PowerBook (FireWire)のPowerBook Computer Developer Noteを参照するとPC100対応で、最大駆動周波数が125MHz以上、CAS Latencyが3のDIMMが必要であるとされています。調査の結果、RAS to CAS delayは20ns以下、ROW precharge timeも20ns以下が必要条件になっているようです。

Appleによる対応リスト:New PowerBook対応メモリ

これらの性能は、DIMMの上に搭載されたEEPROMに書き込まれており、コンピュータ本体から認識されています。

fig.2 現在使用中のGREEN HOUSEのGH-SDG256M、中央左よりの小さなチップがEEPROMであり、内部に性能が記録されている。

fig.3 Uni-North IC内部のブロックダイアグラム予想図

起動シーケンスでSO-DIMMのEEPROMから情報を読み込み、メモリのタイミング操作を行っているはUni-North ICのはずです。さて、これまでの経験からPowerBook G3 SeriesでCAS Latencyの違いがパフォーマンスには影響しないことは知られていました。しかし、PowerBook (FireWire)のUni-North ICでもそれは当てはまるのでしょうか。

今回、これらの調査を募集し、大野氏、小林久峰氏、わたなべ@札幌氏の3名の協力を得ることが出来ました。この場を借り、御礼申し上げます。結論はPC100-222Sのメモリのみ搭載したほうが動作が速く、PC100-322Sを混ぜると遅くなります。PowerBook (FireWire)はCL2のDIMMもCL3で動作しているという話は誤りです。調査結果についてしたにまとめてみましょう。

目的

CAS Latencyの異なるPC100メモリがPowerBook (FireWire)のパフォーマンスに影響があるか調べる。

対象

PowerBook (FireWire) 400/14を2台、HYUNDAI HY57V651620Bを使用した初期搭載のPC100-322SのDIMM、TOSHIBA TC59SM716FT-80を使用したPC100-222SのDIMM、W981208AH-75を使用したPC100-222SのDIMMの組み合わせ。

PowerBook (FireWire) 500/14にSAMSUNG KM416S8030BT-FLを使用した初期搭載のPC100-322Sと、MicronのMT8LSDT1664HG-10EB1を搭載したPC100-222-620のDIMM。

方法

それぞれのPowerBook (FireWire)にPC100-322S(CAS Latency=3)を組み込み、CacheMark 1.1.0でTool Box内部のルーチンによるメモリの転送速度を測定した。同様にPC100-222S(CAS Latency=2)を組み込んだときも測定した。PowerBook 500/14に関してはPC100-322S(CAS Latency=3)のみ、PC100-222S(CAS Latency=2)のみ、PC100-322SとPC100-222Sを混在した状態の三通りに関し測定した。

測定には、ハードウェア及びソフトウェアによる割り込み動作で、測定結果の誤差が増えるのを防ぐため、USBを含む全ての周辺機器を取り外し、機能拡張ファイルを読み込まない状態で測定した。また、それぞれについて測定は3回行った。

結果は転送単位2Kbyte、4K、8K、16K、32K、64k、128K、256K、512K、1024K、2048K、4096K、8192Kbyteとして、256Mbyte転送するの要した時間を測定している。

統計

有意差検定には測定結果の分布が不明であるため、ノンパラメトリック検定であるMann-Whitney's U testを用いた。

結果

PowerPC G3の内部Level 1 cache容量は32Kbyteであり、メモリ操作がこの範囲に及ぶ場合はL1 cacheを使用した転送速度を測定していると考えた。従って転送単位2Kbyte〜32KbyteまではL1転送速度として、転送単位64Kbyte〜1024KbyteまではL2転送速度、2048Kbyte〜8192KByteまでをSO-DIMM転送速度として集計した。同じクロック周波数の2台のパワーブックについて、L1転送速度は30個、L2も30個、SO-DIMMは18個の結果を得た。

またPowerBook 500/14に関しては転送単位2048KByte、4096KByte、8192Kbyteについて、PC100-222Sのみ、PC100-322Sのみ、PC100-222SとPC100-322S混在の3つについて、それぞれ3回測定し、27個の結果を得た。

考察

PowerBook 400/14での測定結果を考える前に、いろいろな影響(割り込みなど)が測定結果に及ぼす影響を評価するために、理論的にSO-DIMMの違いに影響されないL1 cache及びL2 cacheのメモリ転送時間についてしらべた。

fig.4 CL2及びCL3のDIMMを組み込み、Level 1 cacheにアクセスしたときの転送時間。

Fig.4をみると、p=0.17 となり、有意な差はなさそうである。同様にLevel 2 cache(Bachside cache)の転送速度をみてみると、

fig.5 CL2及びCL3のDIMMを組み込み、Level 2 cache (BackSide cache)にアクセスしたときの転送時間。

同様にp=0.55となり、有意な差は無い。メモリのCAS Latencyの違いを評価する上で、考慮すべき外的因子はないと考えた。

fig.6 CL2及びCL3のDIMMを組み込み、それぞれのSO-DIMMにアクセスしたときの転送時間。

外的影響が否定された上で、同時に測定されたそれぞれのメモリに対してのアクセス速度は有意(p<0.001)に違いがあった。平均値の比較では約4%の速度向上を認めた。

fig.7 PowerBook 500/14にCL2、CL3 、CL2とCL3の混在での転送速度。単位はMbyte/sec

最後にPowerBook 500/14にCL2とCL3のメモリを混在して搭載した場合は、遅いメモリに合わせてタイミングが設定されることが示唆された。

PowerBook (FireWire)が推奨するPC100-322以上のPC100-222SのDIMMを搭載したとき、その挙動が変化し、より高速にRAMにアクセスすることが判りましたが、そのことによって不都合がおきる可能性は否定できません。引き続きCL2のみで駆動させ安定動作している、もしくは不都合がある場合の情報を募集いたします。PISMO対応SO-DIMMの中に高品質なSDRAMを使用しながら、PISMOに合わせてデチューンしたメモリ情報を載せて販売しているものが見受けられます。場合によるとCL=2の設定には問題があるのかもしれません。情報お待ちしています。

 

5/Mar

PISMO(5)

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前回ATA-66(最大データ転送速度66Mbyte/sec)が搭載された割には、あまりハードディスクのアクセス速度が変わらないようだとお書きしました1)。今回はそれを訂正しなくてはならないようです。

ベンチマークソフトウェアにもいろいろ有るのですが、Norton Utilitiesに付属するSystem infoは比較的お持ちの方が多く、データをお送りいただくには便利です。しかし、今回のようにアーキテクチャの変更が大きい場合の比較検討にはやや力不足であることは否めません。

そこで今回はPowerBook G3 Seriesメーリングリストでご活躍中のachan先生にB'sBenchによる詳細なデータを送っていただいたので御紹介致します。

System infoのデータ再掲

もう一度Norton Utilitiesに付属するSystem infoのデータをお見せします。順次読み出し、順次書き出しの速度はドライブの上限性能に左右され、最大転送速度がEIDEの最大16.6Mbyte/sec未満であると大きな差が現れません。random writeに80%の速度向上があり、注目すべきとはいえるものグラフの表記法からあまり目立ちませんね。私も見落としていました(^^;)

このrandom writeの部分について注目するためにB's Benchで測定してみましょう。

fig.1 PowerBook 500/14 (FireWire)に搭載されたDARA212000のベンチマークテスト結果。比較検討したのはPowerBook G3 400/14 (Bronze)とTravelstar 6GT(DADA-26480)Bench Markの組み合わせ。

ベンチマーク提供:prism氏2)

B's Benchによる測定結果とExpansion Bayの速度

測定結果を示す前にもう一つ、PowerBook (FireWire)のExpansion Bayについて補足説明を行います。というのも今回PowerBook (FireWire)で採用されたATA-66インターフェースは内蔵ハードディスクのみに適応され、Expansion Bayに供給されているのはこれまでと同じEIDEインターフェースです。同じハードディスクをそれぞれに接続したときにどの程度の速度差があるのかも合わせて見てみることにします。

測定対象

全ての測定は、デバイスドライバを通さない測定としました。

  • DARA225000
    • PowerBook G3 300(333改)に内蔵したDARA225000で測定したデータです。現在入手できる2.5インチハードディスクとしては5411回転、メディア密度ともトップクラスで、もっとも性能が高いと考えられます。厚みが17mmでありPowerBook(FireWire)に搭載することは出来ません。
  • DARA218000.PB00
    • PowerBook (FireWire)に内蔵したDARA218000のデータです。最大転送速度66Mbyte/secのATA-66インターフェースに接続されています。
  • DARA218000.PB00.Bay
    • PowerBook (fireWire)にXcarEt Pro 99を使いExpansion Bayに接続したDARA218000のデータです。PowerBook (FireWire)もExpansion Bayに供給されるIDEインターフェースは最大転送速度16.6Mbyte/secのEIDE規格となります。
  • DARA218000.PB99
    • PowerBook G3 400/14にDARA218000を内蔵したときのデータです。最大転送速度16.6Mbyte/secのEIDE規格です。

シーケーシャルアクセス

fig.2 B's Benchによるシーケンシャルアクセス速度。 データ提供:achan先生

PowerBook (FireWire)の最大sequential read速度が20Mbyte/secを越えてはいるようですが、平均値としてはDARA225000と同程度であることが判ります。

ランダムアクセス

fig.3 B's BenchによるRandom Read速度。 データ提供:achan先生

fig.4 B's BenchによるRandom Write速度。 データ提供:achan先生

ハードディスク内部のキャッシュが有効な書き込み転送速度の上昇が判ります。コマンドオーバーヘッドの関連で16KByteまでは差は無いのですが、ハードディスク内部のキャッシュが働く512Kbyteまでは約2倍の転送速度が実現しているのが判るでしょう。(Fig.4)

それと比較すると他のEIDEを使用する経路はすべて、16MByte/secで頭打ちになっています。特にPowerBook (FireWire)のExpansion Bay経由の転送速度が低いのが気になります。

関連アーティクル

PowerBook (FireWire)詳細〜従来機との比較、ベンチマーク〜 26/Feb

PowerBook (FireWire)詳細〜Link Layer,HeatSink,DVD Video〜 20/Feb

Expo special Jon Rubinstein氏への問いかけとPISMO詳細 17/Feb

Expo special PISMO発表〜そのアーキテクチャの予想〜 16/Feb

参考

  1. PISMO(4) 、PowerBook (FireWire)詳細〜従来機との比較、ベンチマーク〜 26/Feb 2000
  2. prism氏よりのベンチマークテストデータ
  3. CacheMark 1.1.0 ,(C)1998 たなかQ(兄貴工房)

 

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