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シンメトレル(SYMMETREL ノバルティス ファーマ(株))がA型インフルエンザウイルス感染症に対し使用できるようになったのが平成10年11月27日ですから(1、2ヶ月半経過したことになります。 日本では長らく「脳梗塞に伴う意欲・自発性の低下の改善」、「パーキンソン症候群」に対し使用されていた薬であり、副作用や耐性株の問題から、小児科領域で積極的に処方する医師はまだそれほど多くないようです。外来で患児の母親に「パーキンソン病の治療薬で、インフルエンザに効く新薬がありますが、使いますか?」と聞いても、「やめておきます」という答えがかえってきました。 さて、シンメトレルの新しい添付文章に注目してみましょう。副作用の項目には悪性症候群、視力低下を伴うびまん性表在性角膜炎、角膜上皮浮腫様症状、心不全等と並んでいます(2。 この悪性症候群については、森田昌代らが1996年6月の日本神経学会関東地方会で、塩酸アマンタジンとトリヘキシフェニジールを内服継続中の69歳男性が、内服開始3年後に悪性症候群を発症した報告しています。このなかで、頻度は稀少であると述べています(3。 また、視力低下を伴うびまん性表在性角膜炎、角膜上皮浮腫様症状については、野垣宏らが、1992年に脳梗塞で意欲の低下を来した64歳の男性に対し、塩酸アマンタジンを投与したところ、3週間後に点状表層性角膜炎および上皮剥離を生じたと報告しています。筆者らは海外でも10数例、本邦ではこの64歳男性が始めてであると述べています(4。 以上、いずれも頻度は少ないと思われます。頻度が比較的多いとされる副作用に注目してみます。添付文章には、下の表が掲載されています(2。
また、警告(1として以下の点が気になるところです。
また、小児に対しては(1
小児科領域では武田紳江先生が、感染治療としての使用経験を発表されています。アマンタジンの投与量は3〜5mg/kg/dayの分2、最高200mgで投与期間は5日間で、症例により最高14日間投与したそうです。添付文章をみると、感染後に使用する場合、最長7日間の投与にとどめることと記載されています。この発表のなかで副作用についても触れられており、多弁、不眠を呈した6歳小児が一例(4mg/kg/day)報告されています。(5 副作用がこれだけ示されており、また場合によると、効果を示さない耐性株が48時間で発現する可能性がある(6、この薬を、もしあなたが病院で「どうしますか?」と聞かれたとき、飲んでみようと思いますか?是非意見を聞かせて下さい。 アンケート入力フォームへ
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今日から、これまでゼラチンが含まれていた武田薬品の3種混合ワクチンから、ゼラチンが除去されました(1。3種混合ワクチンはBCGと並び早期に始まるワクチンです。こうしたワクチンからゼラチンが除去されることで、ゼラチンアレルギーが減ることが期待されます。
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保健医療局結核感染症課は次のようにインターネットで呼びかけています。
これは、後のサーベイランスより、一般の抗体保有率が80〜90%であるのに対し、
と、明らかに低下している為だとしています(1。 さて、日本ではここ数年ポリオの発生を見ていません。野生株と呼ばれる、自然のポリオは残っているのでしょうか?文献的に調べますと、日本において1961年のポリオワクチンの経口摂取が開始された後には、野生株での灰白髄炎は1995年まで3例のみです(2。
定型ポリオに至らずとも、分離された株みても散見するのみです。
一番最近の1993年の滋賀県の例は、PCRにて詳しくウイルス株が分析され、このウイルスがワクチン株であるsabin株とは類似性が乏しく、北ベトナムで1992年に分離された株に類似していることが証明されました。この男児は発熱の19日前、台湾に3日間旅行しており、この旅行でウイルスが持ち込まれた可能性が高いと結論づけられています。 (2 それでは、ポリオ流行地域に旅行しなければ、安心なのでしょうか。言い換えれば、現在行われているポリオ生ワクチンからの感染は無いのでしょうか? 現在使用されているポリオ生ワクチンであるsabin株は、細胞継代を重ね野生株から弱毒変異株として選ばれたので、自然感染と同様な機序で抗体を産生し、腸管局所免疫も成立し、効果が優れているという特性を持ちます。 しかし、接種された人の消化管の中でワクチンウイルス株が繁殖を繰り返し、人から人への感染を繰り返す間に、毒力復帰の方向に変異を起こし、きわめて希でありますが、弱毒経口生ワクチン服用者または、その家族などの接触者に麻痺性ポリオが発生する問題、ワクチン関連症があると指摘されています。(5 原 稔らは、免疫不全の小児にそれとは知れず、接種されたポリオの生ワクチンが結果的にポリオを発症せしめたことに注目し、仔細に報告しています。(6 この児は、生後5ヶ月時に接種された生ワクチンが、その後1年11ヶ月にわたり糞便中に排泄されていたことが確認されています。2年5ヶ月後に定型ポリオに罹患してしまいましたが、その間に分離された22株のウイルス株には時間と共に連続的に変化し、毒性を持ったと結論しています。 それでは、普通の人が、この毒力復帰の可能性を持つ生ワクチンに感染する可能性が有るのでしょうか? 多ケ谷勇は人体通過後のワクチン由来ウイルスが免疫を持っていない周囲の人に感染した場合、むしろ周囲に人にとり免疫賦活といういみで有利に働くという意見が、米国で主流をしめているとしています(7。このことは裏返せば、定型ポリオの発症はなくとも、感染はあり得るといってるわけです。 前田太郎他は、ポリオ生ワクチンの接種期間中に下痢を主訴として来院した11名の患児の便をウイルス培養した結果、2名よりポリオ生ワクチン株と同じウイルスを検出し、PCR法で確認したと報告しています(8。
このように、人から人へのポリオワクチン株の感染は、予想以上に高頻度に起こっていると予想されます。 毒力復帰した生ワクチンで感染した報告に注目すると、我が国で、1970年から1977年までの7年間で、生ワクチン接種者との接触で、急性灰白髄炎を発症したと考えられるワクチン関連症は8例あるそうです。(7この数字は、米国と比べると明らかに低く、日本の方が全年齢層の国民に80%〜90%の免疫を取得している(1為だろうと結論づけています。(7 これまで、米国と違い日本では、大人への感染は無いとされていました。しかし、最近の報告を探すと、1993年に内田真紀子らが19歳男性例を発表し、大人への感染もあり得ると言うことが示されています。(9
結論としては、
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Medical macintosh (c) 1998,1999,2000,2001,2002
Written/Edited by Y.Yamamoto M.D.
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