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中央薬事審議会、医薬品特別部会で27日塩酸アマンタジン(シンメトレル:ノバルティス)のA型インフルエンザに対しての適応承認、保健適応が認可されたようです。(1これまでの適応症は脳梗塞に伴う意欲・自発性低下の改善、パ−キンソン症候群に加える形での認可です。 禁忌は妊婦及び授乳婦、塩酸アマンタジンに過敏症で、腎臓にて大部分が未変化体として排泄されるため特に腎障害合併者に投与するときは注意が必要であるとのことです。副作用として、幻視、妄想、せん妄などの精神症状を呈しやく、海外ではアマンタジン耐性インフルエンザについての発表が多く見られています。 節度を持った投薬をすれば、有効である報告は日本でも散見できます。特に病院施設内でのインフルエンザ流行などの場合、同時期に投薬できれば耐性株の発生のリスクは下げることが出来るのではないでしょうか。吉岡春紀先生もやはり耐性株発生に対しての危険性をふまえた上での有効性をインターネット上で発表しています。(2このなかで、耐性株の発生のリスクを下げるためには、予防投薬にとどめ、治療投薬は慎重にすべきだとも述べています。欧米ではワクチン接種前に流行が始まった状況下では、ワクチン接種と同時にアマンタジンの内服を開始し、14日後に抗体が上昇した時点で、アマンタジンを中止する方法が有効であるとの報告がされています。(3しかし現状の日本の保険制度では予防投薬の許可は無理だったようで、今回の認可の背景に予防投薬の是非ついて議論があったと聞いています。日本国内での予防投薬の報告は、菅谷憲夫先生によって1993年1月に東京都下の重症心身障害者施設でのアマンタジンの予防投薬があります。A香港型インフルエンザによる大規模な院内流行があり、A病棟(平均年齢35歳)では50命中46名、92%が発病し、1名が死亡し、B病棟(平均年齢20歳)への波及が懸念され、全員にアマンタジン100mg/dayの投与し、50名中22名、44%の発病、死亡者はいなかったというものです。(4 小児科領域では武田紳江先生が、感染治療としての使用経験を発表されています。アマンタジンの投与量は3〜5mg/kg/dayの分2、最高200mgで投与期間は5日間で、症例により最高14日間投与したそうです。A型(H3N2)感染者24名中3日以内に解熱したのは62%あり、解熱に4日以上要した9例については、7例が発症48時間以降に投与開始し、残り2名は二次感染合併例だったそうです。副作用についても触れられており、多弁、不眠を呈した6歳小児が一例(4mg/kg/day)報告されています。(5 塩酸アマンタジンは日本ではパーキンソン病治療薬として多く使われてきましたが、本来抗ウイルス薬であり、A型ウイルスのエンベロープのM2蛋白を標的にしています。(6ということは、本年初めに新聞等をにぎわせた新型インフルエンザA(H5N1)にも効果があると考えるのは自然の流れであり、事実アメリカ疾病予防センターによって裏付けられ、香港政府保健局からの勧告の中でも触れられています。 インフルエンザに対しての治療手段が増えることは大変喜ばしいことでありますが、基本としてはやはりワクチンによる予防を忘れるわけにはいかないでしょう。竹内可尚先生はインフルエンザワクチン接種がとても減ってしまった現状を大変危惧しておられました。講演でも述べられていましたが、我が国のインフルエンザワクチンの供給量はわずか50万人分ぐらいだそうです。インフルエンザワクチンは有精卵で作られるのですが、昨今のインフルエンザワクチン離れからこれらのファームが壊滅的打撃を被り、新型インフルエンザが出現したから、さあ作れといわれても、その生産能力は限られています。(7もう一度ワクチンについて考える時期が来ているのかもしれません。
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先日、友人の同僚が経鼻インフルエンザワクチンの開発をしているというメールをいただき、ずいぶん前のMedical Tribune vol.30 no.43で報告されているのを思い出しました。少し掘り下げて見ます。まず、Medical Tribuneの情報元であるpaperを引用、翻訳します。PubMedありがとう。
インフルエンザ生ワクチンは、25度前後と低温での発育に訓化させた(cold-adapted:CA)インフルエンザウイルスと流行株(野生株)を混合して培養すると、遺伝子の組み替えがおこって、ウイルス表面にはHAとNAの抗原性が流行ウイルスに由来する、CAウイルスを増やした物だそうです。このウイルスを鼻腔に噴霧すると、鼻腔内での限局した感染を起こし、感染症状は局所反応にとどまり、免疫を取得するとのことです。(1小児科領域ではインフルエンザが冬季の重要な入院の原因となり、数千人の小児がインフルエンザ感染により入院していると考れれています。(2このように入院する小児のインフルエンザでは死亡例は希ですが、最近、A型インフルエンザ感染に伴う脳症が乳幼児に多発することが報告され、死亡率や後遺症の合併率が高いことが注目されています。(3結局、インフルエンザに立ち向かうには手洗いやうがいなどでは不十分であり、不活化ワクチンであれ、生ワクチンであれワクチンしかありません。まだ、日本では経鼻弱毒生ワクチンは実用化されていませんが、もう一度ワクチンの重要性を見直す時期にきていると思います。アマンタジンとインフルエンザワクチンの副作用については次回!
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昨日付けの最新インフルエンザ様疾患患者発生動向のページを見ると、今シーズン初のインフルエンザ分離が報告されていました。それによると去年と同じ流れのインフルエンザA香港型(H3N2)が福岡で分離されているそうです。私の手元にある最後のInfluenza分離結果もA香港型で前シーズン(今年の1月29日)のものです。 さてみなさまは予防注射を受けますか?注射はどうも・・という方が多いのではないかと思います。点鼻薬のインフルエンザ予防があればどうでしょう。鼻腔は咽頭などと比べると外気を取り入れるため温度が低いことに着目し、高い温度を好まないインフルエンザウイルスを鼻腔に接種し、感染を成立させるが、下気道への病原性を下げることで免疫取得を効率的に行うと記憶しています。このタイプの予防接種が出来るようになれば、もっと手軽に勧められるのですが・・いつ始めることが出来るのでしょうか。 |
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IBMより発想の転換てき新製品が発表になっていました。電池駆動のタブレットとみればそれまでですが、おそらく、厚手のレポート用紙を挟んで使用し、それなりの精度を出すためには、既存のタブレットの技術をある程度アレンジしなければならないのではないかと予想されます。ペンストロークをフラッシュメモリに蓄え、PCへ転送して使うのだと思いますが、これは電子カルテの入力デバイスとして非常に有効なのではないでしょうか。また、ただの画像データのストレージとしてとらえるのではなく、書き順情報も持っていると考えるなら、手書き文字認識への応用も不可能ではないと思います。 |
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今年の5月頃日本でも猛威をふるった、香港を発生源とされるウイルスAutoStart 9805が分離されました。こう書くとなんだか病気の話のように聞こえますが、コンピュータウイルスのことです。学会前の医局のスライド作成機から分離されたこのウイルスは、これらのコンピュータのデータを破壊し、印刷不能にしました。 でも、どうして新種は香港から現れるのでしょうか。このウイルスは亜型がAからFまで存在し、最初に分離されたA型は30分ごとにデータを20個ずつ破壊したそうです。ターゲットは主にATMフォントといますから、漢字圏である香港発生はある程度うなずけます。毎年猛威を振るうインフルエンザは、鳥で発生した新種のウイルスが、豚の肺の上皮細胞で繁殖。このときに人にも感染する能力を得たもののうち、人の免疫能力の隙間をついて流行します。DTP界で発生したウイルスが漢字の橋渡しで日本に伝播し、ネットの海をこえてやってきたのでしょうか。今回分離された型はB型とD型で、繁殖サイクルがより短く、ウイルスが破壊するターゲットファイルが画像データなどと、より悪質なものへと変化したタイプでした。 ネットの世界ではもう旧聞になった事件も、ネットに関わりのない人たちの間は今の事件です。皮肉にもウイルスには詳しいはずの医師が最も無防備な被害者となったようです。数あるワクチンの中で、フリーソフトを一つリンクします。 |
Medical macintosh (c) 1998,1999,2000,2001,2002
Written/Edited by Y.Yamamoto M.D.
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