メディアコンバーターを中心にしたノンリニア簡易デジタル編集機を構成してみました。
中心になるのはFireWire 2 Goの評価時に追加購入したSONYのDVMC-DA1(fig.1)1)です。DVMC-DA2のリリースが発表された関係で、既に大手量販店では実売26000円前後まで値段が下がっています。特に画質的に大きな差異はなさそうなので、DVMC-DA1で手を打つというのも選択枝だと思います。
9/May 2000追記
iMovie 1.0.2(E)の無料リリースで活気づくノンリニア編集ですが、現在もっとも新しいFinal Cut Pro1.2.1、iMovie 1.0.2を含め、DVMC-DA2を使ったDV書き出し時にLANCケーブルで接続された機器でないとうまく動作しないという問題が発生しています。対処にはFinal Cut Pro,iMovieのバージョンアップ待たなくてはならないそうです6)。私が確認したところDVMC-DA1とFinal Cut Pro 1.2J、iMovie 1.0.2Eの組み合わせでは問題は発生していません。現在DVMC-DA1の入手は大変難しいと思われますが、機種選定時には十分注意をして下さい。
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fig.1 DV Hardware CODEC Converter DVMC-DA1
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使用機器構成
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fig.2 Newer FireWire 2 Go
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アナログビデオデッキからの出力をDVMC-DA1でDVデジタル信号に変換、FireWire 2 Goへ接続します。FireWire 2 GoはPowerBook G3 300/14の下段のCardBusスロットへ挿入し、上段へはUltra Wide SCSIインターフェースREX-CB32P2)を入れます。これにはIBM Ultrastar 9ESを3)繋ぎました。
DVデジタル信号は1分間に200MByteを消費します。1秒間に約3.3Mbyteとなり、PowerBook G3 Series標準のSCSIインターフェースの5MByte/secに逼迫します。安定したデータ転送を期待するため、実測で13MByte/secの動作が可能なUltra Wide SCSIハードディスクをキャプチャー用ワークディスクとしました4)。
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fig.3 ラトックシステム(株)のREX-CB32P
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音声レベルについて
DVMC-DA1の音声フォーマットはデフォルトで12bitモードとなっています。これはサンプリング周波数32KHz、12bitであり、ステレオ2トラックを確保してアフレコに対応したモードです。しかし、入力をアナログ機とした場合、ダイナミックレンジの不足からオーバーレベル時にドロップアウトを引き起こします。オーバーレベル入力時のドロップアウトは「ぶつっ、ぶつっ」と大変耳障りです。考えられる対処法としてアナログビデオとDVMC-DA1の間にミキサーを配置するか、アッテネーターを取り付けることになります。
よりダイナミックレンジの広い、高音質な音声フォーマットとしてDVMC-DA1ではサンプリング周波数48KHz、16bitの「16ビットモード」も用意されています。設定は簡単で、INPUT SELECTのANALOG INボタンを2秒以上押し続けるというものです。このモードでは音のドロップアウトは殆ど気にならなくなりました。
録画時間について
単一ファイルとしてのビデオクリップの最大長は9分28秒となります。これは丁度容量が2GByteです。多くの取り込みソフトでは、ビデオクリップが分割されるのみで、書き出し時にはシームレスに再生できるため問題にはなりません。録画時間はキャプチャー用ハードディスクの容量に依存します。4Gで約20分弱といったところです。2時間の録画には24GByteのハードディスクが必要になる計算です。
画質について
アナログビデオ同士を接続してダビングしたときとほぼ同じ画質が得られるようです。デジタル化したことによる劣化は非S-VHSレベルの画質では気にならないでしょう。もちろんDVカムコーダのソースであれば、ほぼカムコーダから直接出力するNTSC信号に近い画質がえられます。
画像ドロップアウトについて
最大の関心事はちゃんとキャプチャー出来るのかということかもしれません。PowerBook G3 300(333改)/14と、上記機器構成で640×480ドット、29.97/secの通常のDVキャプチャを20分間実行したところ、完全に欠けてしまったコマは有りませんでした。しかし下の図に示すようなブロックノイズが発生しました。右側のカラフルなノイズが取り込み時に発生したブロックノイズで、プレビュー画面やQuickTimeで書き出すと確認することが出来ます。この信号を再びDVMC-DA1に戻してアナログ信号にすると、一回り大きなノイズになりますが、色調が単色グレーになり目立ちにくくなりました。発生頻度は20分(4GByte)のデータで7回〜8回でした。
fig.4 「RONIN」部分より、実際より4分1に縮尺。
プロテクトについて
DV信号には著作権保護のためにプロテクト信号が含まれています。DVMC-DA1にはインジケーターがあり、ID-2方式、CGMS-D方式、マクロビジョン方式5)といったプロテクト信号を察知すると赤く点灯します。(市販VHSタイトルでもID-2方式のビデオが散見されます)
本来、コンピュータ側でこの信号を関知した場合、キャプチャーが出来ないのが普通なのですが、今回調査した取り込みようソフト(iMove)では無視されました。ただし、プロテクト信号は消されずに保存されるため、DV録画機器などではレンダリングした画像のデジタル録画は拒否されると思われます。(未確認)現状ではアナログ書き出し、QuickTime書き出しともに可能で、Macintosh側ではプロテクトは無視されています。
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