PowerBook G3 Seriesのアップグレードカードが出ない最大の理由はCPUドータカード上にMacOS ROMが搭載されているからだ。しかし、PowerBook G3 Series 1999(Lombard）はBootROMのみ搭載され、MacOS ROM Fileはハードディスクに格納されている。
ROM in RAMと呼ばれるこの手法は、 ROMよりもアクセススピードの速いRAMにコードを展開するため実行速度面でも有利である。
それならばBootROMのみ作成すればG4アップグレードカードは作成できるのだろうか。Open Firmwareと呼ばれるCPUドータカードに搭載されたROMは大きく分けると2つの部分からなっている。各デバイスをイニシャライズするBoot部分とTrampoline codeと呼ばれるMacOS ROM Imageを読み込む部分である。
前者のBoot部分をAppleの権利を侵害せずに作成することは不可能ではない。問題はTrampoline codeに有ると私は考えている。MacOS ROM Imageは圧縮されていて、機種ごとに必要な部分を抜き取り、RAM上に解凍するのがTrampoline codeと呼ばれるこの部分なのである。これはMacOS ROMを守る、一種のプロテクトである。
さて、ここに来てあるアップグレードメーカーのマーケティング関係者が友人と会話をしているのを小耳に挟んだ。それは全くプライベートな実験であるがG4にアップグレードしたパワーブックが実在し、非常に熱くなるが動いているとのことなのだ。
また、もう一つ将来MacOSがこのプロテクトを解除するのではないかという憶測が流れている。事実、未完成ながらプロテクトが解除されたバージョンが存在するという噂である。
この2つの話は、LombardにG4アップグレードカードが出てくる噂話と繋がっているのではないだろうか。
しかし、おそらくそのパワーブックは当面350MHz以上の周波数は無理であり、より厳しい温度管理のための機能拡張が組み込まれ、瞬間的には早いが、熱くなるとCPU駆動率を落とす処理が施されるに違いないだろう。
9年ぐらい前に私がHKSのブーストコントローラーを搭載したNISSAN 300ZX TwinTurboを、インターセプト時、最初の4秒間だけBoost圧が1.2kg/cm2になるようにセッティングしていたことを思い出させた。