IBMのDJSA-232000のサンプルが少しずつ出荷されているようです。ファームウェアがまだβバージョンであるということが気になりますが、ベンチマークテストをする機会を得たので、ご紹介したいと思います。
まず、085_Sequential accessに着目して下さい。ほぼ同じ条件で測定した他のドライブと比較すると、メディア間データ転送速度がすぐれていることが伺えます。
次に086_Random Read accessを見るとDJSA-230000とあまり変わりません。キャッシュの影響を受けにくいこの計測方法は、シーク速度や回転数、メディア密度、キャッシュを含む制御ファームウェアなど総合的な性能を反映します。メディア間転送速度が向上したDJSA-232000が*1、DJSA-230000とあまり変わらない結果となっています。
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087_Random Write accessは、1Kから2M付近まではcacheに書き込まれるため、制御ファームウェアの性能やcacheポリシーがわかり、後半、7Mを越える領域はメディア間転送速度が反映されます。DJSA230000と比較すると、同じ2Mbyteのキャッシュを搭載するため、非常に似通った値ですが、データ量が小さく、制御ファームウェアの影響が強く出る1Kから16Kまでの速度が若干、悪化しています。7M以上ではコンスタントにすぐれており、2.5インチ最速の結果になりました。
コマンド処理のみのベンチマークテスト(トランザクション回数/s)を測定すると、東芝製のMK1X14シリーズが優れており、ベンチマークテストにもその結果が現れています。しかしMK1X14シリーズは1Mbyteのキャッシュを搭載していますが、128Kbyte以上のアクセス時に書き込みcacheをスルーするアルゴリズムがあり、Macintoshで使用する場合、賛否が分かれるところです。
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それと比較すると搭載される2Mbyteのcacheを使い切る設計のDJSAシリーズは簡潔なアルゴリズムと言えますが、ATA-66を採用するPowerBook 2000 FireWireでの使用感は大変良いものとなっています。
今回のDJSA-232000の結果は、似通ったファームウェアを搭載しているはずのDJSA-230000よりもトランザクション処理速度が約10%から5%劣るものでした。β版であることから、今後改良されることも予想されます。ドライブ自体の基本性能が高いので、最高速度を要求するユーザーには必須となるでしょう。
謝辞
Amuletの高山氏の協力で測定が出来ました。どうもありがとうございました。
#1 IBM Travelstar 32GH, 30GT, and 20GN 2.5-inch hard disk drives(PDF) |