PowerBook (FireWire)に搭載されるPowerPC G3にはThermal Assist Unitが搭載されています。この部分は本来、CPUの温度管理に使用され、設定以上の温度になった場合の信頼性を確保するため、CPUを細かく休止させ、温度を下げるために利用されます。
しかし、MacOSでは独自の実験から、この機能はインプリメントされていないことが判っています。
裏を返せば、その必要がないほどPowerPC の発熱量が小さいとも言えるでしょう。
またこの温度は機種によって大きく違います。例えば初期のPowerBook G3 1998 (Wallstreet)には、その発熱量に見合った、105度まで使用可能なチップが搭載されていました。Wallstreetには平気で90度を越える個体があったのです。
002_Application Conditionsはその様子を図にしました。PowerBook G3 1999
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(Lombard)からはIBMの銅配線のPowerPCが使用されていますが、これらには最大使用可能温度が105度の製品もアナウンスされてはいたものの、高価なためでしょう、実際には85度までの製品が使用されています。よく、Yosemiteなどのデスクトップの機器を使用されている方がパワーブックを手にすると、そのDie Junction 温度のあまりの高さに驚かれますが、デスクトップには一番右の「A」クラス、最大65度までしか保証されていないチップが使用されいるのです。PowerBookの温度が高くても、チップの種類が違うのだと理解する必要があります。
手軽に温度を読み出せるためか、この温度の高低に一喜一憂し、高いときになぜ空冷ファンが回らないのだろうと心配になるかたもいるようです。
このTAUが検出する温度はCPUのDie直下の温度であり、温度と言うよりはその時
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のCPU全体の消費電力を反映した数字だと思った頂いた方が判りやすいでしょう。
この温度と、PowerBook内部の基板の温度は必ずしも一致しません。特に空冷ファンはPMU (Power Management Unit)によってコントロールされています。決してこのTAUが示すDie Junction温度を参考にしてるわけでは有りません。
しかし、この温度が全然役に立たないという訳ではないと考えます。例えばCPUとヒートシンクの接着に不良が有る場合は、温度が異常に高くなります。
003_Die Junction Temperatureに示した値はまだその母集合が少なく、標準値にとするわけにはいかないでしょう。しかし、ご自分のPowerBookのDie Junction温度が大きくはずれている場合、特に85度を越える場合は異常かもしれないということが判ります。
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