題名に共通点がなくて、何のことかとお思いだろう。
話はさかのぼる、最初にKosaka氏がキータッチ改善パーツを作ったので、見て欲しいとメールをくれた。非常に精度が要求される部品だが、ほぼ理想的な形状であった。
だが心配もある。絶縁ということだ。SoildAdjusterはその加工性の良さからアルミで出来ている。アルミは磁石に付かないから電気を流さないのかと一瞬勘違いしそうだが、よっぽど鋼鉄よりも伝導性がいい。
SolidAdjusterは実際フレーム以外、電子パーツにはいっさい接触する事が無いよう考慮されている。絶縁など必要ない。が、しかし後から付け加えるパーツである。改造には違わない。このパーツが電気を流してしまうことが出来ると言うこと自体が問題になる。
ようするに「取り付けてもショートの心配はない」のではなく「ショートしない構造を取り付ける」必要があるのだ。
私は最初のKosaka氏のメールに二つの心配を書いた。その一つが絶縁問題だった。
もう7年前になるがNSXのフロントカウルの中にフォーンタイプの警笛を取り付けたことがある。NSXはミッドシップであるから、フロントにはバッテリーとラジエター、そしてスペースセイバータイヤしか積んでいない。事実地面から13cmの高さ、トーボードに張り付くようにバッテリーが搭載され、その脇は地面が見えてしまうほどの「スカスカ」である。しかし、フォーンを取り付ける場所は意外と存在しない。結局ボンネット直下、スペースセイバータイヤとフロントショックメンバーの隙間に押し込むことにした。
このときグランドをどこから取ろうかと迷ってしまった。アルミは磁石に付かないから、電気がながれにくいのかなぁと、思いこんでいたからだ。しかし、よく考えると電気抵抗が低すぎて、逆に溶接するために高電流を必要とするため、ホンダは新しい溶接機を専用工場に用意したことを思い出した。普通にアルミフレームからグランドを取るだけで、フォーンは高らかに鳴り響いたのだ。
さて、Kosaka氏に私は安易に「絶縁の為に塗装をしたら」と提案したのだ。しかし、彼は電着塗装にコストが掛かるため、難しいとの答えをくれた。
そうなのだ、すっかり忘れていた、NSXも塗装をこれまでの有機溶剤系の塗装から、水性系塗装に、そしてその塗装が旨く載るように、ホワイトボディーを電着塗装しているのだ。（NSXのフロントをちょっぴり引っかけたとき、フレームまで行かない小さな傷（大きさ10cmぐらい）なのに塗装を含め修理を、栃木の専用工場まで依頼し、70万円強も掛かったことをを思い出した）
その後、Kosaka氏はSolid Adjusterにエポキシ塗装を少し厚めに施すことで絶縁をアピールできるのでは無いかとしている。やや色気に欠けるが、外から見える部品ではないし、リターンキーを押さえて、キーボードがたわんで気になる向きには、最高のアイテムとなるだろう。