水疱瘡、水痘。東京の中心部で流行している。非常に強い感染力を持ち、飛沫感染で広がる。感染した子どもの唾液などを媒体に、口腔粘膜や眼球結膜からウイルスは侵入。所属リンパ節に隠れ、それが感染数日で、体のなかにどかっと流れ出す。これが第一次ウイルス血症。こうして広がった水痘ウイルスは、肝臓、脾臓などの臓器に一気に広がり、またなりを潜める。
そして、感染10日ごろ肝臓、脾臓などの臓器でいい加減多量に増えたウイルスが、血液に載ってさらに広がる。この時が第二次ウイルス血症期。それはもう多量のウイルスが体中に走るわけだ。そしてそれがあの水を持った水胞とうなって皮膚に出現する。
要するにあの独特な水胞が出現したときはもう、ウイルスは当初の目的、体中の細胞にとりつくと言う作業を済ませている。
潜伏期間。ウイルスに重要な期間である。この間にウイルスは広がるのだ。この潜伏期間が短ければそれほど広がらないだろう。感染力が弱くてもウイルスは広がらない。致死性が低いほど広がる。
コンピュータウイルスもそうだ。潜伏期間が長く、感染しても不顕性であり、感染力が強く、害が小さければどんどん広がる。去年猛威を振るったAutostartウイルスはその感染力の強さ、破壊性の高さからOS自体の対応により絶滅状態だ。そう、あまりの破壊力の強いウイルスは絶滅してしまうのだ。
じわりじわり、害は小さく、でも確実に広がり、そして潜伏期間の長いウイルス。さらに良性のアプリケーションと区別の付かないウイルスは・・・まるでガン細胞の様に体をむしばむだろう。そしていつの間にかアプリケーションが安全に活動するメモリ空間、ハードディスク空間を食いつぶし、システムリソースを消費してハードウェアを、アーキテクチャそのものを死に至らしめる。さらに最近は自己修復機能までもつものすらある。
そんなアプリケーション＝ウイルスがあったら、とても怖い。