Mac OS Xがインストール出来ないPowerBook G3 Series 1999 (Bronze Keyboard)がある聞き、今回は4人のかたの協力をえて試験を行いました。なかでも東京近郊にお住まいの御三人には、わざわざLombardをご持参いただき、貴重な時間をお割きいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
さて、実際のテスト結果をお示しします。テストに先駆け、私がたてた仮説である「SPDの23バイト目が示す2番目のアクセス時の最短サイクル時間が短いものに不良が発生する」に基づき、マックメム.com社に特別にお願いして作成していただいた特注メモリ552_ SPD changed special SO-DIMMと、容量、SDRAMチップ構成の同じ通常メモリ、そしてインストールに問題のでないCPUドーターカードを持参して挑みました。
Install test A
問題のあるマザーボード、メモリに問題のないCPUドータカードを組み合わせて、インストールを行いました。結果はとくに問題なく正常にインストールが終了しました。
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install test B
問題あるマザーボード、CPUドータカードに特注メモリを組み合わせてインストール作業を行いました。インストールファイルの解凍中(約15分ほど経過したところ)でフリーズしてインストールは完了しませんでした。
Install test C
問題のあるマザーボード、CPUドータカードと通常メモリを組み合わせてインストール作業を行いました。15分ほど経過したところでフリーズしてインストールは完了しませんでした。
Running test D
install test Aで正常にインストールされたMac OS Xを起動してみました。IEの起動やQuickTime Playerの動作は出来ましたが、classic環境の起動中にフリーズしてしまい安定動作は望めませんでした。
Running test E
install test Aで正常にインストールされたMac OS Xを起動して見ました。IEの起動に失敗し、エラーがでたりQuickTime Playerは起動前にフリーズしました。
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Running test F
問題のあるマザーボード、CPUドータカード、特注メモリの組み合わせですが、いったんCPUの直上にあるヒートスプレッダーを分解し、銅製のヒートスプレッダーとCPUコアの間にあって、キャパシター抵抗と接触しているアルミ製の熱伝導シートを切りそろえ、熱伝導シリコングリスを少量再塗布して組み直したうえで、送風ファンを使って強制的に冷却した状態で、動作試験を行いました。
動作の不安定さに変化はありませんでした。テストに協力していただいたnobu氏によると、使用メモリを192メガバイトに減らし、冷却することで動作安定性が改善し、3時間ほどMacOS Xが使用できたと報告していただきました。
結論
疑問1「USBとSCSIの混在するPowerBook G3 1999をインストーラーが誤認することでカーネルパニックを起こすのではないか」
Install test Aで問題なくインストールが終了することや、正常インストール後もRunning test D,Eで動作不良を起こすことから否定的です。
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疑問2「SPDの内容によって安定性がそこなわれるのではないか」
同じ容量でテストしたInstall test BとCでいずれも動作不良を示したことや、Running test D及びEでの挙動に大きな違いがないことから、SPDの内容は、この問題には関連がないと結論します。
疑問3「搭載メモリ量で安定度が変化するのではないか」
これは今回の試験では行いませんでしたが、持参していただいたいずれの機器でも、メモリ総量を64メガバイトにすれば、インストールができました。動作自体もメモリスワップ動作で大変パフォーマンスが悪いながらも、それなりに動作しました。メモリ総量と安定性の間には強い相関があると考えます。
疑問4「熱暴走とは考えられないのか」
メモリを減らして強制冷却した場合、動作安定性が向上したというnobu氏の報告がありますが、メモリを同じとして行ったRunning test Fの結果はよいものではなく、関連はするものの、問題解決の糸口にはならないと考えます。
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疑問5「CPUドータカードに不良があって、動作しないのか」
今回の一連の検査の結果、CPUドータカードを変更した場合、メモリ、冷却の如何に関わらず問題なく動作しています。これは3台のパワーブックに同じ結果となりました。以上より、メモリ総量と発熱には相関関係が認められるものの、問題の原因はCPUドータカードの不良と結論します。
しかしながら、このドータカードが少ないメモリであれば、なんとか動作してしまうということ、純正以上にメモリを増設した場合に、本体発売後に発表されたOSで異常が出現することから、Apple社にドータカード交換を要求する決め手に欠ける印象があることが残念です。
BBSで同じ問題を抱えるユーザーの声を募集します。実態を調べることから始めたいとおもいます。よろしく願いします。
10/Nov 2001
複数のメールなどの連絡より、アップル社がこの問題について認識し、問題のあるLombardに関して、近日中にリワーク等の対応が発表される可能性があることがわかりました。正式な発表があれば、このページでも紹介いたします。
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メモリを増設したLombardでMac OS Xが動作しない
マックメム.com
謝辞
マックメム.comの猪川氏には、特殊メモリを作成し、テストに協力していただきました。猪川氏のお話がなければ今回の調査は進まなかったでしょう。
永門氏にはお手持ちの機材を長期にわたって貸していただきました。大変助かりました。
遠方から東京秋葉原までご足労ねがった臼井氏、そしてテスト終了後、温度との関連を指摘してくださったnobu氏,また職場が近いという理由で遅くまでおつきあいいただいた中村氏の御三人には、大変お世話になりました。ありがとうございました。
ほかにも、続々と動作不安定を指摘するお便りが届いております。情報ありがとうございます。
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